16歳で歌った「モーニングコーヒー」朝にコーヒーを飲むことの意味がわからなった_2

『LOVEマシーン』のブレイク。黄色いサイリウムで埋まった『タンポポ祭り』

――飯田さんの中で印象的だった楽曲というと『LOVEマシーン』(2000年発売)ですか。

そうですね。『LOVEマシーン』で初めてミリオン(注:100万枚)を越えたんです。昔はCDが売れる時代だったので、100万枚売れたら、やっとブレイクしているっていう認識だったんです。これでミリオンアーティストの仲間入りだ、みたいな。だから『LOVEマシーン』がヒットしたのは嬉しかったですね。この曲がきっかけでテレビ番組への出演も増えましたし、一気に自分たちをとりまく環境が変わったような気がしました。

――今では当たり前となったサイリウム文化ですが、その先駆けともいえるのが2002年9月23日に行われたコンサート(『モーニング娘。LOVE IS ALIVE! 2002夏 at 横浜アリーナ』)で、ファンの方たちが用意した黄色のサイリウムが会場一帯に広がった「タンポポ祭り」だと思います。その時MCで飯田さんが「タンポポがいっぱいだよ」という言葉を発しておられます。

会場がサイリウムで一色になるのを初めて見たんですよ。だから、事前に用意した言葉ではなく、ポロッと出ました。“タンポポがいっぱいだよ”って。本当にタンポポ畑に見えたんです。その後に、マネージャーさんから“名言出したね”って言われたけれど、なにも計算してないんですよ(笑)。もう本当に自然に出た言葉ですね。

――ファンの方たちが自主的に行ったサイリウム点灯というアクションに対して、アイドルからレスポンスがあったっていう意味では、非常にインパクトの大きいエピソードだと思います。

そうですね。私にとっても今でも思い出すとじわっと涙が出てきそうなぐらい、すごく感動的な出来事でしたね。アイドルをやっていてよかったと思えた瞬間でした。

――当初は、モーニング娘。の曲をどのように受け止めて歌っていましたか?

モーニング娘。はどちらかというと初期は大人な恋愛を歌っていることが多くて。片思いとか、気持ちが届かない心理を歌っているのが、正直理解できていなかった部分もあったんです。どう歌えばいいのか困惑していました(笑)。つんく♂さんから“それをセクシーに歌うんだよ”って言われても“えっ”みたいな。わからないじゃないですか

――グループ結成当初は、飯田さんは16歳でしたよね。歌詞も背伸びしたものだったので、違和感があったのですね。

そうです。16歳とかで、デビュー曲の『モーニングコーヒー』の“モーニングコーヒー飲もうよ”と言う歌詞なんて、“朝にコーヒー飲むんだね”みたいな(笑)。意味をわかってなかったんですよ。

――初期メンバーである石黒彩さんが卒業を発表した時に、『ASAYAN』の中でのユニット、タンポポの楽曲、『たんぽぽ』の一節を飯田さんが歌いだしたのを覚えています。『たんぽぽ』は大事な楽曲だったんでしょうか。

タンポポの『たんぽぽ』(1999年3月31日発売)って、日常生活で感じていることと重なる部分があったんです。その当時は、モーニング娘。とタンポポと学業を両立しなければならなくて自分自身もすごく辛い時期でした。モーニング娘。の歌詞よりも、等身大だった『たんぽぽ』の歌詞に救われたこともあったので、より一層、タンポポでの活動には感情が入ったんじゃないかなって思いますね