全裸で歩きながら排泄も

風間さんは、手続きのし忘れで、1年遅れで小学校へ。祖父の様子がおかしくなったのは、その頃から。糖尿病を患っていた祖父はおそらく脳梗塞か何かを発症して倒れ、寝込むようになった。それを機に徘徊するようになったのだ。

突然、出かけようとするので、「どこに行くの?」と聞くと、「山梨の田舎に帰る」と。「何言ってるの」「ダメだよ」と祖母がなだめても聞かず、暴れて大声を出す。おとなしかった祖父の変わりようにビックリです。

祖父は身長165センチ、体重は70~80キロだったと思いますが、子供の僕からすると大きくて。羽交い締めにしたり、ときにはプロレス技の足4の字固めをかけたりして(笑)、出かけるのを阻止していました。

「祖父が全裸で街を徘徊して…」風間トオルが語る“極貧”ヤングケアラー体験_2

そんな状況でも、学校には楽しく通っていました。それが僕の仕事だと思っていたので。その間は祖母が祖父をみていて……くれればいいのですが、祖母はパチンコが好きで店に通っていたので(笑)。今思えば、祖父に付きっきりで鬱々とするより、気晴らしになって良かったんじゃないかな、と。

祖父は祖母の姿が見えなくなると、「今がチャンス」とばかりに出かけていたのでしょう。山梨に帰ろうと家を出る。でも、道がわからず歩き回り徘徊する、ということだったのだと思います。

夏は暑いので、服を全部脱いで真っ裸で徘徊してしまう。小学校2年生のとき、友達と下校中、すごい臭いがしてきて「何だろう」と思っていると、友達が「うわ、見ろよ。あのじいさん、汚ねえ!」と指さしました。見ると、祖父が真っ裸で歩いていたのです。

しかも歩きながら排泄していて……! さらに、手で排泄物を他人様の家の壁に塗りつけていました。恥ずかしくて、「あれは僕のじいちゃんだ」と言えず、知らんぷりしてそのまま帰宅。友達が見えなくなるのを見届けてから、「じいちゃんは今、あのへんにいるかな」と予測して探しに行き、連れ帰りました。友達を見かけたら、電柱の影に隠れたりしながら(笑)。