神社で「これをしなければいけない」という決まりはない

神社で参拝するときに、「作法を守ればご利益がある」「守らないとバチが当たる」と思っている方も多いのではないでしょうか。

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世界の多くの宗教では、神様と契約を結び、その約束を守らなければならないとされています。いわゆる神様と聞くと、そのイメージで決まりを守るか守らないかが大事だと考えがちですが、日本の神社は、神様と契約を結ぶ必要はなく、「これをしなければいけない」という決まりはありません。

日本の神社にいる神様にとって大事なのは、「きれいか、そうではないか」。決まりを守るからいい、守らないから悪いというように「いい悪い」では判断せず、「やらないからご利益をあげない」なんてことはないのです。

ちなみに、神職の方が境内を清掃している光景をよく見かけると思いますが、境内をきれいに保つことこそ、神職の方にとって最も大事なおつとめと言えるほど。参拝前に手水舎で手と口を洗うのも、心身を清めてきれいにするという行いです。

神社には、いかにも信心深そうな方も訪れますし、スリッパ履きでふらっと寄ってみたなんて感じの方もいらっしゃいます。けっこう不思議な光景だとも思うのですが、神社は、地域のコミュニティセンターとしての役割を果たしてきたパブリックスペースでもあります。誰でも自由に入れる場所で、どう参拝するかは、それぞれのモラルに任されているのです。

神社参拝の作法は、そうしたなかで人々が自発的に行い、マナーとして広まったもの。「神様に礼を尽くしたい」という気持ちのあらわれなのです。