「死んじゃだめ」は酷な言葉でもある

8月30日に、大空さんの著書『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由』(河出書房新社)が発売された。現在悩みを抱えている子どもたちや、「周囲に悩んでいる友達がいるが、自分に何ができるかわからない」という想いを持つ子どもたちに対して「相談すること」「頼ること」の大切さを伝える内容だ。

タイトルの「死んでもいいけど、死んじゃだめ」には、大空さんのこんなメッセージが込められている。

「『自殺は絶対にだめ』と言う人は多いですよね。もちろん、その考え方が間違っているわけではありませんし、僕だって、死にたいと思っている人に死んでほしくない気持ちが当然あるからこそ、相談窓口を運営しています。

ただ、苦しんでいる人に『死んじゃだめ』と言うのは、とても酷なことでもあると思うんです。すでに絶望の縁に追いやられている人が、『死という最後の逃げ道まで絶たれてしまった』と感じて、さらにそこから落ちてしまうような気持ちにさせる言葉でもあると思っています。

僕も10代のとき、本気で『死にたい』と思ったことがありましたが、もし誰かからその言葉を掛けられていたら、おそらく出口を絶たれた感覚になってしまっただろうと思います。

『死にたい、命を絶ちたい』と苦しんでいる人に対して、死んでほしくないと思うのは当たり前。でも、それを『死んじゃだめ』という表現にするのではなくて、『死んでもいい。でも、僕はあなたに死んでほしくないと思っているよ』と伝えたいんです」