甘えられないからこそ、自分でサバイブする

紗栄子さんのライフワークである支援活動の歴史は、10年以上。そこで得た知見はかなり豊富だが、昨年、活動に説得力を持たせるため防災士の資格も取得した。

「『Think The DAY』で防災バックを販売する際、防災士が監修しているということは安心材料になるし、選ぶ理由にもなると感じたんです。それに、自分が被災地に足を運んだときに、“この人が来たら大丈夫だ”と思ってもらえる安心感にもなりたかった。支援の現場で生きる情報を学ぶことができました」

「日本人は災害時でも甘えないで我慢しがち」防災士・紗栄子が訴える、備蓄と助け合いの重要性_06
防災セットの梱包は、紗栄子さんやスタッフがすべて手作業で行なっている

なかでも特に学びになったと言うのが、過去の災害の事例。歴史から得られる情報は多いと語る。

「自分が住んでいる土地の歴史を知ることは、すごく大切だと思いました。やっぱり、災害は繰り返されるんですよね。例えば地名に“谷”がついている場所は、地形的に台風や豪雨など、過去に水害が発生している可能性がある。地名は昔の方たちが私たちに教えてくれるメッセージなので、過去の歴史や事例を知ることで、どんな予防が必要か想定できると思います。

災害は、ときも場所も選びません。もはや日本全国に、絶対に安全な場所はありませんし、災害は必ず起きます。ハザードマップを確認したり、避難経路の確認もしてほしいです。自治体とのコミュニケーションもすごく大切になってきますし、お子様がいらっしゃる親御さんは、学校からのお知らせなどにも、自分ごととして目を通していただきたいです」

それらはすべて、人に頼らず、自分でサバイブできるようにする準備でもある。

「日本人は災害時でも甘えないで我慢しがち」防災士・紗栄子が訴える、備蓄と助け合いの重要性_07
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「被災地に行くとすごく思うんです。“もっと甘えてくれたらいいのに”って。日本人らしい特性だと思いますが、本当に辛い状況でもがまんをされる方が多いんです。みんなが大変なときだからこそ、“私にください”と言いにくいですし、自分よりも他の人を優先させる優しい気持ちが働くんだと思います。

だからこそ、人にお願いしにくいこと、もらいにくいものは、自分で準備しておいた方がいい。人によって必要なものは異なります。防災の日を機に、本当に自分にフィットするグッズをセットアップしてもらえたらうれしいです。その準備はきっと、いつかくる日の大きな安心感につながると思いますから」


取材・文/松山梢

「Think The DAY」
支援活動に賛同した人からの寄付金で支援物資を購入し、被災地に運搬。現地にて炊き出しなどをおこなっている。災害時の活動が中心ではあるが、医療従事者支援やウクライナ支援など、活動は多岐にわたる。防災グッズも販売しており、8月には新たにヘルメットや防護マスクなどの噴火対策セットも販売を開始する。

公式サイト
https://thinktheday.org

インスタグラム
https://www.instagram.com/_thinktheday/

紗栄子
1986年11月16日生まれ、宮崎県出身。2010年から個人的に社会支援活動を開始し、2019年に一般社団法人「Think The DAY」を設立。2020年8月には、ホーストレッキングや馬とのふれあい体験が楽しめる観光牧場「NASU FARM VILLAGE」の運営に参画。ライフスタイル商材を扱うECサイト「Think.」を年内ローンチ予定。売上の一部は支援活動に充てる仕組みに。YouTube「SAE CHANNEL」も人気。

インスタグラム
https://www.instagram.com/saekoofficial/?hl=ja

YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCS04WUEsH3jqCjTeKPRbGcA