1冊の本で世界の見え方が変わる
――現時点で興味のあることや、気になっていることは何ですか?
本を書いて、本を出した後もこういうインタビューで話す機会がありますし、この本について他の方に書いていただくこともある中で、書くこと、書かれることについて考えるようになりました。誰かについて書くことに伴う影響の大きさや、経験を言葉にする必要性、モラルだったり……語ることと語られること、その上での伝え方については、いろんなコンテクストで考えますね。
――本でしか伝えられないものや、本で伝える意義は、どういうことだと思いますか?
本って、紙の上の文字を追っているだけなのに、そこには大きな世界が広がっていて、小さな1冊の本を読み終えただけで世界が違う色に見えることがあって。言葉が持つ力も大きいし、同じものを読んでもとらえ方が人それぞれ違う、その自由度も本の魅力だと思います。
同じ経験でも、今の時代なら動画やSNSという発信方法もあり、やり方によっては効果的に伝えられる人もいるはずですが、じっくり時間をかけて突き詰めていきたいと思っていたので、私には、本という形が一番合っていたのかなと思いますね。
取材・文/川辺美希 撮影/竹花聖美