元プロ・中谷仁監督が持つ、卓越した「投手マネジメント力」
今年の大阪桐蔭に刺客がいるとしたら、近畿大会で対戦した智弁和歌山のように投手力が長けているチームだ。
今大会、智弁和歌山はそれほど注目を浴びていないが、2004、2005年の駒大苫小牧以来の夏連覇が掛かっている。
就任4年目の中谷仁監督は、選手の個の伸ばし方と戦術の徹底に長けている指揮官と言える。元プロ野球選手らしく、野球の知識が豊富で、それらを高校野球に活かしている。
中谷監督が、特にその手腕を発揮しているのは「投手のマネジメント」だ。
エース格をチーム内に作りつつ、その使い方が非常にうまい。1回戦はエースを先発させて投げさせ、2回戦以降は一転して、エースをリリーバー待機させておくのだ。
2019年の大会では、3回戦の星稜戦で延長14回の死闘を演じているが、その際、エースの池田は6回から8イニング3分の1のみ。14回を1人で投げ切った相手エースの奥川恭伸(ヤクルト)と渡り合えたのは、複数投手をうまく使い分けたからだった。
頂点に立った昨年は初戦となった3回戦でエースの中西聖輝が先発。9回途中までを投げた。準々決勝では中西を温存。準決勝は中西が先発完投し、決勝戦でリリーフ待機して4回からマウンドに上がって胴上げ投手となった。
エースはチームの中心だから重要な場面で登板が多くなるのは致し方ない。しかし、だからと言って、エース依存はしないのだ。