信念を持って生きることの素晴らしさ

歌は心を移す鏡。アレサ・フランクリンの半生を描いた映画『リスペクト』_2
『リスペクト』でアレサ・フランクリンを演じたジェニファー・ハドソン
Photoshot/アフロ

私は、2年程前から小さな頃からの夢だった歌の勉強を始め、昨年からは本格的に声楽の練習に取り組んでいます。
歌っていていつも感じるのは、そのときの自分の心身の状態が歌声に反映され、技術はまだまだでも声の響きや届き方が変わるということ。
身体とこころはつながっているし、声もつながっています。そのことを一番大切にしながら、いつか納得のいく歌を歌えるようになれたら…と日々練習しています。

小さい頃から抜群の歌唱力という才能を持っていたアレサが、デビュー当時に思うように歌えなかった一番の理由は選曲ではなく、自分を抑制した状態だったからではないかと感じました。
束縛から解き放たれて、自分らしく才能を活かしきる姿は本当に眩しいですし、人に勇気を与えてくれます。
アレサから自分の信念を持って生きることの素晴らしさを思い出させてもらえました。

立ち直ったアレサが自分の本当にやりたい音楽として選んだのは、幼少期によく歌っていた場所であり原点でもある教会でのゴスペル。レコード会社からは難しいと言われていたチャーチ・コンサートアルバムは、彼女のキャリアの中でもっとも売れたアルバムとなります。

アレサ・フランクリン役を演じたのは『ドリームガールズ』(2006)でアカデミー助演女優賞を受賞し、歌手としてもグラミー賞を受賞したジェニファー・ハドソン。アレサ本人が彼女を抜擢したというのも納得の歌唱力で歌い上げる、数々の名曲も大きな見どころのひとつ。

エンドロールには名曲『ナチュラルウーマン』を歌うアレサ本人の歌唱映像も登場しますが、こちらも言わずもがなの圧巻。歌詞も映画の内容ともリンクして、以前聞いたときとは染み込み方も全く違うものに感じました。

鑑賞後には映画内で出てくる、教会での伝説のコンサートシーンのライブドキュメンタリー映画『アメイジング・グレイス』(2018)を合わせて見るのもおすすめです。『リスペクト』で素晴らしい声の裏側にある、決して平坦ではなかったアレサの物語を知ったあとでライブ映像を見ていただくことで、汗だくで歌うアレサの姿や歌声への感動がさらに深まること間違いなしです。