大好きな映画スターの愛で方
――「ロードショー」では俳優のみなさんに憧れの映画スターをお聞きしています。おふたりの大好きな映画スターは?
ムロ 僕は小中学生の頃から、水曜ロードショーとか日曜洋画劇場とか、テレビから映画の情報を得ることが多かったですね。好きだったのは『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988)。こういうハッピーエンドの世界に憧れていたし、主役の王子を演じたエディ・マーフィも良かったんです。1人何役も演じるシーンとか、本当に芸達者。スター性があるし、楽しみながら演じている感じが好きでした。ドリフターズに憧れていたので、こういう遊び心のある人が好きなんでしょうね。
岸井 今も見るんですか?
ムロ 大人になってからは1〜2年おきに見るようにしています。最近見たのは去年の秋かな。いつも「これが僕の作りたい世界だ」って思います。エディ・マーフィに出会ったことで、僕自身、プラス思考を学んだ気がします。
岸井 私の場合はマット・デイモンですね。
ムロ あ、いいとこいくね!
岸井 あれだけのスターなのに、土ぼこりが似合うというか。この間見た『スティルウォーター』(2021)も、本当にそこら辺にいるおじさんっていう感じで。俳優さんの中にはどんな役を演じてもかっこよくなっちゃう人っているじゃないですか。でもマット・デイモンはスターなのに映画の中ではそれを見せない。こんなフツーの人いるよなって感じさせるのはすごいと思います。
ムロ 初めて知ったのはどの映画?
岸井 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)です。
ムロ 脚本も書いたやつね。子供のときからグッときたの?
岸井 いや、そのときはまだ。
ムロ そうだよね。あれは大人になってからの方が泣くよね。名言もあるしさ。
ムロ・岸井 (同時に)「君は間違ってない」!
岸井 いいですよねー。
ムロ 僕も2年に1度見るくらい好きです。
岸井 あと私、『オデッセイ』(2015)も好きなんです。陽気で前向きで、困難に直面しても口笛を吹いて乗り越えるようなマット・デイモンのキャラクターがすごく良くて。彼はどんな役を演じても違和感がないんです。ただ、顔が好きってわけじゃなくて……。
ムロ え、そういうことじゃないんだ(笑)。
岸井 本を読むときに、たまに主人公を脳内でマット・デイモンにすることはあります。最近だと『プロジェクト・ヘイル・メアリー』というアンディ・ウィアーのSF小説を、マット・デイモンを主人公に変換して読みました。ポスターを貼って眺めるみたいなことをしない代わりに、私はそうやってマット・デイモンを愛でています(笑)。
『神は見返りを求める』(2022)上映時間:1時間45分/日本
イベント会社に勤める田母神(ムロツヨシ)は、合コンで底辺YouTuberのゆりちゃん(岸井ゆきの)に出会う。再生回数に悩む彼女を不憫に思った田母神は、まるで神のように見返りを求めず、ゆりちゃんのYouTubeチャンネルを手伝うようになる。登録者数がなかなか上がらないながらも、前向きにがんばり、お互い良きパートナーになっていくふたり。そんなある日、ゆりちゃんは田母神の同僚の梅川(若葉竜也)の紹介で、人気YouTuberチョレイ・カビゴン(吉村界人・淡梨)と知り合い、彼らとの体当たり系コラボ動画により、突然バズってしまう。イケメンデザイナー・村上アレン(栁俊太郎)とも知り合い、瞬く間に人気YouTuberの仲間入りを果たしたゆりちゃん。次第に、一生懸命手伝ってくれている田母神のことを、「動画の作りがダサい。良い人だけど、センスがない」と見下していくようになる。
6月24日(金)より全国公開
配給:パルコ
©2022「神は見返りを求める」製作委員会
公式サイトhttps://kami-mikaeri.com
※吉田恵輔監督の吉は、士の部分が土になります。
ムロツヨシ
1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。1999年、作・演出を行ったひとり舞台で活動開始。映画『サマータイムマシン・ブルース』(2005)出演をきっかけに映画にも活動を広げる。『マイ・ダディ』(2021)で映画初主演を務める。今後は『川っぺりムコリッタ』(2021)が9月16日公開。
岸井ゆきの
1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。2009年ドラマ『小公女セイラ』で女優デビュー。『おじいちゃん、死んじゃったって。』(2017)、『愛がなんだ』(2019)、『やがて海へと届く』(2022)、『ケイコ、目を澄ませて』(2022)、『大河への道』(2022)などに出演。
【ムロさん】スタイリスト/森川雅代 ヘアメイク/池田真希
【岸井さん】スタイリスト/森上摂子(白山事務所) ヘアメイク/Toshihiko Shingu(VRAI)、Chisato Mori(VRAI)
撮影/小田原リエ 取材・文/松山梢