ネーミングライツ収入がなぜか市ではなくドームへ
また、気になるのがネーミングライツ。札幌ドームは2024年8月から「大和ハウス プレミストドーム」という名称に変わり、これにより年間2億5000万円の収入があると言われている。これについても波田氏は「ネーミングライツでの収入も企業努力の一つだと思います」と前置きした上でこう説明する。
「札幌市の指定管理施設は通常、ネーミングライツ収入が指定管理者ではなく所有者である札幌市に入るんです。例えば、札幌市民ホール(カナモトホール)の指定管理者は大和リースさんなのですが、ネーミングライツ収入は札幌市に入っています。
その他、確認できる限りで札幌市でネーミングライツを導入した施設はすべて同様なのですが、なぜか大和ハウス プレミストドームのネーミングライツ収入だけが株式会社札幌ドームに入っているんです。
この点について札幌市に問い合わせると、ネーミングライツ収入の帰属を一律に定める取り決めは存在せず、ケースバイケースで決定しているとのことでした。
もちろんこれが問題かと言われればそんなことはありませんし、他自治体でも指定管理者の収入になっている事例もあります。ただ、もし2億5000万円のネーミングライツの収入が札幌市に入っていたとしたら、札幌ドームの営業利益は大きく変わっていたでしょう」
他方、黒字転換というのは札幌ドームにとっていいことばかりではない。昨年度の黒字を受けてかどうかはわからないが、今年7月17日、外部の有識者による行政評価委員会からある指摘があった。
「『団体の事業に採算性があるのであれば、民間に任せることが妥当だと思われることから、市は、団体の完全な民営化(出資の解消)や、指定管理の公募化などを含めた新たな運営の在り方についても将来的に検討すべき』という答申があったのです」
つまり、利益を出せるのであれば、それはそれで第三セクターに限らない運営体制に見直すべき、という提言だ。
「ですが、札幌ドームの指定管理を非公募とする理由について以前、提出された議案説明資料で『施設管理運営においても長期的な経験により蓄積された知識・ノウハウを有する同社の存在が不可欠である』と説明しています。
この言い分を踏まえると、次回も引き続き株式会社札幌ドームが指定管理者になるのではないかと思われます」
赤字であれば「日本ハムに逃げられたからだ」と世間から批判を受け、業績が良くなっても外部機関から「採算性があるなら運営体制を見直せ」と指摘を受ける。なんとも痛し痒しの状況だ。
いずれにしても、最大5万3820人もの観客を収容できる札幌ドームは札幌市の財産だ。しかも、阿部社長の言葉を信じるならば、札幌市に及ぼした経済効果は今年度上半期だけで約70億円。
たとえ札幌ドームが“実質赤字”だとしても、その維持管理に公金が使われていたとしても、札幌市全体としては大きな経済効果が生まれている、と考えれば、札幌市民も溜飲を下げてくれる……のか。
取材・文/武松佑季













