約3億4000万円が札幌市からの公金支出

一方で、必ずかかるであろう札幌ドームを修理、保全するための支出は通常、営業利益を圧迫するが、札幌ドームの損益計算書や貸借対照表を確認してみても関連項目が見当たらない。代わりに札幌市が今年9月に発表した決算資料には、「札幌ドーム保全費」として約9億円が決算額として記載されていた。2億1000万円という黒字を大きく上回る額だが、この点は問題ないのか。

大和ハウス プレミストドーム2025年度事業報告より
大和ハウス プレミストドーム2025年度事業報告より

「それは株式会社札幌ドームが第三セクター(官民共同出資会社)として札幌ドームの運営を任されているだけで、ドームの所有をしているのは札幌市だからです。オーナーが所有する建造物の修理費等をオーナーが負担することは一般的なので、運営受託側の帳簿に計上されないのは不自然ではありません」(川口氏)

この状況を見るに、札幌ドームの経営状況は確かに好転していると言えるかもしれない。しかし、「本当の意味で業績が回復しているかと問われれば疑問です」と指摘するのは札幌市議会議員の波田大専氏だ。

「というのも、札幌市が2024年度に創設した『札幌ドーム活用促進費』という、札幌ドームでのイベントを誘致・活性化させるための支援制度があるからです」

札幌ドーム活用促進費とは、札幌市が札幌ドームで大規模集客イベントや新規イベントを開催する主催者に公費で助成する制度。日本ハムが札幌ドームを去った翌年の2024年度に新たに創設された。

「この制度によって札幌市から2024年度は6000万円、2025年度は約1億2000万円が計上されています。札幌ドーム活用促進費は今年度から廃止されたとはいえ、昨年度の大幅黒字に大きく貢献したことは間違いないでしょう」(波田氏、以下同)

さらに、札幌市が札幌ドームに対して行なっている支援には「札幌ドームアマチュア大会利用料金減免補塡補助金」というものもある。

「これは市民やアマチュアスポーツ団体にも札幌ドームを利用しやすくするために設けられた制度です。日本ハム本拠地最終年だった2022年度の決算額は2500万円だったのに対し、2023年度は8400万円、2024年度は約1億6700万円、2025年度には約2億2000万円と大幅増となっており、これも黒字決算に大きく寄与しているといえます」

札幌市令和7年度決算、局別施策の概要より
札幌市令和7年度決算、局別施策の概要より

2025年度の営業利益は約2億1000万円だったが、同年度の札幌市の決算によると、札幌ドームのイベント誘致等の活用促進に約1億2000万円、アマチュア大会の利用料金減免補塡補助金に約2億2000万円の計約3億4000万円が支出されたことになる。

これらの財源には、過去の札幌ドームからの利益還元を積み立てたスポーツ振興基金が充てられているため、税金を投入しているとは言えない。とはいえ、この約3億4000万円は札幌ドームの収益に大きく影響しているわけで、“営業黒字”と手放しで喜べるかどうかは意見が分かれそうだ。