外国人には「日本社会を学べる職場」に見えている
一方、働く側の目線に立つと、違う景色が見えてきます。
留学生には学費や家賃、生活費が必要です。学校や自宅の近くで探せて、授業のない時間帯に働けるコンビニは、候補になりやすい。ただし、理由は収入や時間の都合だけではありません。日本語を使い、日本社会の中で経験を積めることにも魅力があります。
2021年に公開されたセブン‐イレブン本部担当者へのインタビューでは、外国人スタッフに働きたい理由を尋ねたアンケートで、日本語を勉強できることが最も多く挙がったと紹介されています。調査対象や規模を示した全国統計ではありませんが、現場の動機を知る手がかりになります。
例えば、工場で会話の少ない持ち場を担当する場合、作業を覚えれば、日本語で話す機会が限られることもあります。もちろん工場でも、職種や職場によって状況は違います。しかし、コンビニでは接客そのものが仕事です。相手の話を聞き、意味を理解し、その場で答えなければなりません。
客の話し方も一様ではありません。早口の人も、言葉を省略する人もいる。分からなければ聞き返し、自分で判断できなければ先輩を呼ぶ。教室で覚えた日本語を、実際のやり取りの中で使う機会が、勤務のたびに生まれます。
さらに、おにぎりや弁当の好み、季節ごとの商品、贈り物の習慣、サービスの頼み方まで、売場には日本の暮らしが詰まっています。言葉と、その言葉が使われる場面を一緒に学べるのです。
日本人が見慣れたコンビニも、海外から来た人には驚きの多い店です。小さな売場に食事や日用品がそろい、荷物を送り、支払いまでできる。食べ物の種類も多く、新商品が次々と並ぶ。私たちが仕事の複雑さとして捉えるものが、日本のサービスを学びたい人には、関心を引く仕組みにもなります。
私の新著『店長、パスタに箸をつけたらお客様がキレました。』に登場するネパール人のラメス(仮名)も、そんな目線を持つ若者です。友人から、オーナーは厳しいが、ちゃんとした人だと聞き、むしろ関心を持つ。ルールが曖昧で真面目な人が損をする職場より、決まりがあり、きちんと教えてくれる店で働きたい。その気持ちは、十分に理解できるものです。
楽な仕事を求める人ばかりではありません。同じ時間を働くなら、その先につながる何かを身につけたい。そう考える若者にとって、コンビニは収入を得ながら日本社会に参加できる職場でもあるのです。













