それでもGACKTの「警告」は正しいと言えるワケ
こうして振り返ると、NISAが国民的制度として急速に一般化する一方で、「NISA=金融商品」「NISA=国が運用する投資」「NISAにお金を預ければ増える」といった漠然としたイメージが、著名人の発言の端々に顔を出していることがわかる。金融庁によれば、今や普及率は目覚ましく、口座開設数は数千万規模に達している。
だからこそ、冒頭のGACKTの発言を「制度もわかっていない恥ずかしい勘違い」と冷笑して片づけてはいけないのではないだろうか。
確かに「NISAの利益が生まれる構造」という表現は制度上間違っている。しかし、この言葉を次のように置き換えてみたらどうだろうか。
「自分がNISA口座で『何に』投資しているのか。その金融商品は『なぜ』利益を生むのか。そして、どんなリスクがあるのかを明確に説明できるか?」
金融庁自身も啓発している通り、投資には株式、債券、投資信託などさまざまな金融商品があり、安全性・収益性・流動性のすべてが完璧な金融商品など存在しない。NISAの口座で買ったからといって絶対に利益が出るわけでもなく、暴落時に国が損失を補填してくれるわけでもないのだ。
たとえばNISAで人気のオルカンなどの「インデックス型の投資信託」。これは一体どんな商品で、なぜ長期的な値上がりが期待できると思ったのか――それをあなたは、自身の言葉で「明確に説明」できるだろうか。
自分が何にお金を出し、なぜ増える可能性があり、逆にどういう場合に資産が目減りするのか。それを理解しないまま、「みんながやっているから」「国が勧めているから」という理由だけで、思考停止で大切なお金を投じるな――。
言葉の使い方や用語の説明こそ不正確で批判を浴びたGACKTだが、投資の初心者に向けたこの警告の「本質」自体は、NISAが国民の間に深く浸透し、誰もが投資家になり得る今だからこそ、耳を傾ける価値のある痛烈なメッセージなのかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部












