国会議員も赤っ恥

そして、NISAをめぐって発言が問題になったのは芸能人だけにとどまらない。国の制度を作るはずの政治家ですら、おかしな発言をしてツッコミを受けたケースがある。

2021年10月には、当時立憲民主党の代表代行だった江田憲司衆院議員の発言が大きな波紋を呼んだ。BSフジ「プライムニュース」に出演した際、株式の譲渡益などにかかる金融所得課税について、税率を20%から30%程度へ引き上げる考えを説明。その際、司会者から「NISAやつみたてNISAについても同じように課税するのか?」と問われたのだ。

これに対し、江田氏は「同じようにかけます」とあっさり回答してしまった。

江田憲司議員(本人Instagramより)
江田憲司議員(本人Instagramより)

しかし前述の通り、NISAは「少額投資非課税制度」である。一定の条件のもと、運用益を非課税にすること自体が制度の「核心」であり、存在意義だ。そこに課税してしまえば、NISAという制度そのものが消滅してしまう。

江田氏は翌日、自身の発言を撤回して陳謝。「質問を誤解した。本当に申し訳ない」と釈明する事態となった。NISAをめぐる著名人の発言の中でも、「非課税制度に課税する」と答えてしまったこの一件は、制度への無理解が最もはっきり露呈したケースと言えるだろう。

さらに2023年3月には、参政党の神谷宗幣参院議員の発言も物議を醸した。

参議院財政金融委員会において神谷氏は、海外の株式などへ日本の資金が流出するのを憂慮し、国民のお金を国内産業に循環させる仕組みを作るべきだと主張。国産SNSや国内クラウドなどを例に挙げ、「NISAなどで集めた国民の資産で事業を行い、国民に非課税で配当を渡す」という趣旨の提案をした。

自身のSNSでも同様に「NISAで集まった国民の資産で〜」と説明したため、ネット上では「NISAは国が国民のお金を一カ所に集める制度ではない」「まるで政府が個人の資産を没収して事業投資するようだ」といった指摘が相次いだ。

確かに「NISAで集まった資産」という表現は極めて不正確だ。NISA口座で投資された資産を政府が一括して管理し、その資金を国家の好きな事業へ勝手に振り向けられるわけではない。

ただし、神谷氏については発言の文脈全体をフラットに読む必要もある。国会の会議録を確認すると、国が魅力的な国産SNSなどの事業を作り、そこに「国民の資産を(NISAを通じて)投資してもらって利益を上げ」、配当を非課税にするような仕組みを提案しているに過ぎない。現在NISA口座にある国民の資産を「政府が取り上げる」と主張したとまで解釈するのは、やや飛躍しすぎだろう。

問題は、そうした国家的な事業提案を「NISAで集まった国民の資産」という、制度の根幹を誤解させかねない危うい言葉で表現してしまったことにあった。