「もうやめてくれ、勘弁してくれと祈るしかありませんでした」
店には浸水を防ぐための、高さ1メートルの止水板も設けた。それでも、台風による3度目の浸水は防げなかった。同店の店長の池田隆宏さん(47)が当夜のことを話す。
「台風の日は約70センチ浸水しましたが、どこから店に水が入ってきたのかは分からないんです。止水板を立て、その前に防犯カメラを置いて、家に帰ってからも入り口の状況を確認していました。30分おきくらいに見ていたのですが、しばらくは止水板が耐えていたんです。ところが、Wi-Fiの機器が水没してしまったのか、突然カメラに接続できなくなって……」
翌日には営業を再開するはずだった。隆宏さんは心配になり、夜のうちに店へ向かった。
「『もうやめてくれ、勘弁してくれ』と祈るしかありませんでした。店の近くまで行くと、僕の股のあたりまで水が来ていました。暗かったこともあり、それ以上は確認できませんでしたが、その時点で営業はできないだろうと思いました」
朝、店内の浸水を確かめたときは、信じられなかったという。
「もう、嘘だって。そんなことある? この短期間で3度目って、もう漫画でしょ? そんな気持ちになりました。今も台風が近づいていますし、4度目がないとは言い切れません」
復旧で特に大変なのは、冠水した駐車場に残る泥の清掃だ。水をかけ、こすりながら落とす作業には数日以上かかる。スタッフ十数人が入れ替わりで手伝ってくれたという。記者が訪れた日も、池田隆宏さんは復旧作業に追われていた。
「明日オープンというときに沈んだんです。毎回、心は折れそうですよ、本当に。でも『営業終了しましょうか』というわけにはいかない。僕らも明日から食べていけなくなるし、従業員さんも働けなくなってしまう。申し訳なく思っています」
それでも作業を手伝う仲間がいて、差し入れを持って来る人がいる。信号待ちの車から声をかけてくる客もいるという。
「『再開待ってるから』って言ってくれるんです。だから僕らは、なんとか頑張れている」
店は10月中の営業再開を目指して復旧作業を続けているが、正確な時期のめどは立っていないという。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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