「神奈川県警が取り締まらない」は本当なのか
つまり、「路上に女性が立っている」という事実だけで違法行為になるわけではない。
男性もこう話す。
「見ただけで全部『立ちんぼだ』とは言えないですよ。待ち合わせの人だっている。ただ、夜中に同じ場所に何時間もいて、男の人と話してホテルのほうに歩いていく。それを何度も見ていれば、周りの人間は『そういうことなのかな』とは思いますよね」
そして今回、SNSで最も注目されたのが、「なぜ神奈川県側にいるのか」という点だった。
男性も、こんな話を耳にしたことがあるという。
「町田では昔から『向こうは神奈川県警だから』みたいな冗談はありますよ。警視庁と神奈川県警で管轄が変わるので、『こっちに来れば大丈夫なんじゃないか』とか。でも、本当に警察の取り締まりが緩いから女性たちが神奈川側にいるのかは、僕らには分かりません」
この点には注意が必要だ。
神奈川県警が売春目的の客待ちを「取り締まらない」という事実は確認できない。
むしろ神奈川県警は、県の迷惑行為防止条例について、歓楽街での悪質な客引きや客待ち行為を規制し、警察官による中止命令などの制度を公表している。売春類似行為を目的とする客引き・客待ちも規制対象だ。
実際、相模原市はJR町田駅南口の「環境浄化」を目的に、相模原南警察署や地域住民による防犯活動の拠点「さがみはら安全安心ステーション」を設置している。少なくとも行政資料からは、神奈川県警がこの一帯を取り締まりの“空白地帯”としている事実は確認できない。
もちろん、この条例と売春防止法上の「客待ち」は完全に同じものではない。しかし少なくとも、「神奈川県警だから取り締まらない」と一般化できる根拠はない。
それ以上に大きいのが、そもそもの街の構造だ。
町田駅南口のラブホテルの多くが、神奈川県側に集中している。
「ホテルを使う客を探すなら、ホテルの近くにいたほうが便利ですよね。町田駅の北側や繁華街の真ん中に立って、そこからわざわざホテルまで歩くより、最初から南口のホテル街にいたほうが話が早い。単純にそういう理由もあるんじゃないですか」
男性はそう話す。
つまり、「神奈川側に女性がいる」という現象が仮に事実だとしても、それだけをもって警察の取り締まり姿勢の違いが原因だとは言えない。













