「生活保護のお世話にはなりたくない」
吉田さんは、仕事を辞めて年金だけでの生活は成り立たないとため息をつく。万が一辞めるとなれば、生活保護の申請も視野に入れているようだが……
「稼がないと生きられないので、仕事を完全にやめるわけにはいかないんですよね。それになるべく生活保護のお世話にはなりたくない。でもいまの生活を考えると受給額だけでは、到底暮らせませんよ。毎日死んだように生きていくことになりそうで……。
さすがにこれからは1日15時間労働のような無茶な働き方は避けるようにしていこうとは思っていますけどね」
独身のため誰かと支え合うということもできず、「自分の力でなんとかしなければ」とたびたび口にしていた吉田さん。しかし、高齢者の貧困は独身だけに限った話ではない。
神奈川県に住む田中俊美さん(69歳・仮名)は、同い年の夫とふたり暮らし。隣町のスーパーで週4日働いており、何十年も勤めているベテランだ。3人いる子どもたちは全員独立。田中さんは「この年齢になってもまだ働かなければいけないのか」と力なく笑う。
「夫はもともと働くのが苦手な性格で……。それでも子どもが3人いたので、学費を稼ぐために定年まで同じ会社に勤めあげ、1500万円の退職金をもらいました。私はずっと旦那の扶養になっており、年金は月に7万円程度。夫婦で17万くらいの収入になっています。でも、毎月貯金もできなくて、カツカツの状態ですね。いままであった貯金もほとんど使っちゃいましたし」
貯金と退職金を使い切ってしまったのには理由がある。近年、高齢者向けに必要のない場所までリフォームの提案をしてくる業者に引っかかってしまい、退職金のほとんどを持っていかれてしまったのだ。
夫婦には「持ち家をきれいな状態で子どもたちに残したい」という希望があった。そこで1階のリビング、寝室、浴室をリフォームし、あわせて家全体の耐震補強工事も行うことにした。
「『今後このあたりの土地価値が上がりますから、今のうちに施工しておいたほうがいいですよ』という業者の言葉を真に受けてしまったんです。築30年の家で傷みも出ていたため、言われるがまま見積もりを作ってもらったらオプションがどんどん重なり、総額で1500万円以上もかかってしまいました」
リフォーム費用としては高額だが、自分たちが亡くなった後に売却する際、少しでも資産価値を残したかったのだという。
「住宅ローンがまだ5年残っていたのに、思い切った改修をしすぎたかもしれません。ですが、どうしても綺麗にしたかったんです。私は素人なので、ここの耐震が弱くなってるとか、ヒビが入ってると言われると不安になってしまって。いまとなっては、余計な工事だったのかは知る由もありませんね」












