外交で問われるのは何を取って帰ったか


8月24日から超党派の国会議員団が訪中。議員団のひとり、中道改革連合の伊佐進一氏(写真)はその直前、「日中関係は1972年以来の最悪の状態」と発言した(写真/伊佐氏Xより)

8月24日から超党派の国会議員団が訪中。議員団のひとり、中道改革連合の伊佐進一氏(写真)はその直前、「日中関係は1972年以来の最悪の状態」と発言した(写真/伊佐氏Xより)

日中関係が悪い時に議員同士が会う。それ自体は止める話ではない。むしろ会えばいい。だが、「パイプを維持する」ことを成果にしてはいけない。会談の席に着くことを仕事の終わりにしてはいけない。そこは仕事の入口である。

パイプは道具であって目的ではない。北京に行ける、中国共産党の幹部に会える、電話がつながる。それで何が変わるのか。何も変わらないなら、太いパイプがあっても意味はない。

外交で問われるのは、誰と会ったかではなく、何を取りに行き、何を取って帰ったかである。

中国外交部、日比境界画定交渉は「完全に違法で無効」

中国に行けば「親中派」と呼ばれることもある。そうしたレッテルを承知で、「関係が悪い時こそ自分たちが橋を架ける」という使命感を持つ議員もいるのだろう。その覚悟自体は否定しない。

問題は、その使命感が目的の代わりになることだ。目的さえはっきりしていれば、親中派でも反中派でもない。普通の外交である。外交は人脈自慢ではない。相手から結果を取るための実務である。

しかも、今は相手の言葉をかなり注意して聞かなければならない時期だ。台湾について中国の立場は明白である。

習近平は2026年7月にも「祖国完全統一」を中国共産党の歴史的任務と位置づけた。中国政府は従来から台湾を中国の一部とし、武力行使を放棄しない方針を明記している。

「祖国完全統一」を中国共産党の歴史的任務と位置づけた習近平国家主席
「祖国完全統一」を中国共産党の歴史的任務と位置づけた習近平国家主席

その台湾の東側で、今年は動きが続いた。5月28日、日本とフィリピンは排他的経済水域と大陸棚の境界画定交渉を始めることで合意した。共同声明には、国連海洋法条約の関連規定に従い、国際判例も参照すると書かれている。

ところが翌29日、中国外交部は、この交渉を「完全に違法で無効」と断じた。6月1日には中国海警が台湾東方海域を巡航し、日比の境界画定交渉への対抗措置だと自ら説明している。