「引退かな」とよぎった瞬間、最後の相手に選んだ小島聡

──引退を決意された瞬間について伺えますか。

2024年の暮れも迫った時期の試合だったと思います。いつも通り技を受けて、リングで受け身を取ったんです。背中の一面が「ビーン」としびれて、下半身に力が入らなくなってきたんです。通常であれば、受け身を取って起き上がり、さあ、これから反転攻勢というタイミングです。

仕方がないので、タッグパートナーにタッチをして、リングサイドで休ませてもらっていました。幸い、休んでいると徐々に回復はしてきたのですが、あの瞬間に「引退かな」と頭をよぎりました。

受け身を取った直後、背中がしびれて下半身に力が入らなくなり、引退が頭をよぎったという
受け身を取った直後、背中がしびれて下半身に力が入らなくなり、引退が頭をよぎったという

──その後、2026年5月に引退を発表されました。そして、8月15日の引退試合には小島聡選手を指名。「テンコジ」の愛称で長年ファンに愛されたタッグパートナーとの、5分1本勝負だそうですね。当日はどのような試合がしたいですか。

その5分間にこれまでの自分のプロレスへの熱量を注ぎ込むような、そんな試合がしたいと考えています。

だからこそ、相手は小島選手にしました。これまで彼とは、IWGPタッグ王座戴冠(6回)、G1 TAG LEAGUE優勝(2回)、世界最強タッグ決定リーグ戦優勝(2回)などの栄光をともにつかんできましたが、反面、所属する団体が変わって敵対した時期もあり、プロレス人生で感じたあらゆる感情が彼とともにあります。生涯のパートナーであり、ライバルである小島選手とともに、最後の天山広吉を目に焼き付けてもらえたらと思っています。

──引退を決意されたとき、ご家族の反応は。

妻は「え、もっとやれるでしょう」と驚いていました。まだまだ働かせようとしていました(笑)。妻は「目から血が出ても働きなさい」というタイプなので。

──厳しいですね!

ただ私も似たようなところはあるかもしれません。“テンコジ”はこれで終わりますが、小島選手は本当に強くて素晴らしい選手だと思うから、あと10年は頑張ってほしい。そんなふうに思ってしまいますね(笑)。

代名詞であるモンゴリアンチョップの構えを見せてくれた
代名詞であるモンゴリアンチョップの構えを見せてくれた
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#2に続く

取材・文/黒島暁生 撮影/野﨑慧嗣