萩生田氏重用で亀裂も…旧安倍派「5人衆」の復権にくすぶる不満

こうした中、高市総理のもう一つの“鬼門”となりかねないのが内閣改造・党役員人事だ。

「連立パートナーの日本維新の会の入閣とともに、注目されているのが、旧安倍派の裏金事件で党から処分を受けたものの、ここに復権している萩生田光一幹事長代行の処遇です。読売新聞(電子版)は7月27日に、官邸や他党とのパイプ役として高市総理の信任が厚く、『次の内閣改造・党役員人事ではさらなる要職への起用も取りざたされる』と報じました」(前出・全国紙政治部記者)

萩生田氏らは7月15日に都内で、旧安倍派(旧清和会)による「安倍晋三元総理をしのぶ会」を開催した。

「高市総理に対して、『萩生田を押さえておけば今も旧安倍派は抑えられる』とアピールする狙いもあるのでしょうが、実態は異なっています。萩生田氏の手前、角が立たないように嫌々参加する人や、数合わせのために呼ばれたOBなども少なくなかった。

萩生田氏、西村康稔氏(現・選対委員長)、松野博一氏(現・組織運動本部長)など、裏金事件で重い責任を負った『5人衆』ほど、いち早くポストを求めて復権している。その現状に、旧安倍派の少なくない面々は辟易しているのです」(旧安倍派重鎮)

旧安倍派5人衆としても知られる萩生田光一幹事長代行(写真/本人Instagramより)
旧安倍派5人衆としても知られる萩生田光一幹事長代行(写真/本人Instagramより)

7月8日には、西村明宏元環境相が中心となり、都内で別の旧安倍派の会合が行われていた。

「かつての清和会の派閥領袖・三塚博元大蔵相の秘書出身の西村氏は旧安倍派内で人望があり、5人衆に不満を抱える議員の相談相手となっている。60人超の参加予定があったと言いますが、5人衆周辺からの『引き剥がし』があり、直前のキャンセルも出ました。少なくとも、旧安倍派内が萩生田氏を中心に一枚岩でまとまっているわけでは全然ないのです。

高市総理は、萩生田氏や同じく安倍派5人衆の一人で復党を目指す世耕弘成元参院幹事長(現・衆院議員)と関係が良好と言われています。高市総理がいまだに5人集を押さえておけば、旧安倍派を押さえられるという考えで、彼らを重用した内閣改造・党役員人事をすれば、水面下での不満が高まり、求心力の低下につながりかねません。政権運営のことを考えるなら、避けるべきでしょう」(同前)

西村明宏元環境相(写真/本人Xより)
西村明宏元環境相(写真/本人Xより)
すべての画像を見る

自民党のある副大臣経験者は筆者の取材に「高市総理は大局観に欠けている。食料品の消費減税にしても、それ自体が自己目的化していて、経済を中長期的にどう良くしていくかビジョンが乏しいように見える」と疑問を呈する。別のベテラン議員は、「高市官邸は旧安倍派内の人間関係などの政局的な機微を捉えられないのではないか」とも指摘した。

自民党は7月3日、食料品の消費税率引き下げについて事実上了承した。党執行部は、5日の総務会において、党内手続きを完了させるとみられる。しかし、“総理の意向”に対して、これだけの異論が突きつけられたことで禍根を残しそうだ。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班