ファンと歩んだ30年、そして「母親」としての現在地

一度は聴いたことのある名曲――1990年代、2000年代に発表されたELTの楽曲は、まさにそんなラインナップの連続だ。切ない気持ちや儚い心理描写に定評があり、多くのリスナーがその歌声に癒されてきた。恋する女性の等身大を描いた名曲たちは、性別を問わず多くの共感を集め、ヒットチャートをにぎわせてきた。

キャリアを重ねる中で、ヴォーカル・持田香織のライフステージにも変化があった。2021年末には、第1子を出産した。

「最近は、自分や家族が食べるものに対して興味が深くなりましたね」

家庭的な一面を覗かせる彼女は、ライブや制作に追われていた時代に比べ、食事の質にこだわるようになったと微笑む。

「ここ最近ですが、発酵食品にも関心があるんです。有名な発酵食品の作り手の方と知り合う機会に恵まれて、『美味しくて身体にもいいから、やっぱりもっと知りたいな』と思って。自分でも塩麹を作ってみました」(持田香織、以下同)

デビュー30周年を迎えた持田香織
デビュー30周年を迎えた持田香織
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テレビで見せる印象と同様に、持田は着飾らない人だ。ELT30周年という節目に対しても、「アーティストの◯周年というアニバーサリーは、もともとファンの方々に向けて『いつも応援してくれてありがとう』という気持ちを伝える区切りなのだと私は考えています」と話す。

そんな彼女は、「私はファンの方々と一緒に自分も人生を歩んできたと思っているんです。私が結婚や出産、子育てを経験したように、きっとファンの方々も同じように日常生活を楽しんでいるのではないか――そんなふうに考えています」と振り返る。

そんな持田が今、もっとも力を注ぐのが子育てだ。「ファンの方々は私以外にもいろんな“推し”がいるかもしれないけど、子どもにとっては私しか母親がいないので」。そんな温かでユーモラスな言葉に彼女の優しさが滲む。