勢いを増す東側…錦糸町に後塵を拝する荻窪・阿佐ヶ谷
7月に公表された最新のデータによると、武蔵境駅周辺のファミリータイプの中古マンション価格は1坪あたり275万円。70㎡で換算すると、5833万円となっている。人気住宅街というイメージに比べ、安いと感じる読者も多いのではないか。
一方、「東」の代表格であるタワマンの聖地、豊洲駅はどうだろう。2025年とやや古いデータであるが、70㎡換算で1億3554万円と、武蔵境の2.3倍に達する。
武蔵境駅の物件の平均築年数が31.5年と古いのに対し、比較的新しい物件が多い豊洲は15.6年と、半分でしかない。昭和時代からの古い住宅街である武蔵境に対し、ピカピカのタワマンが立ち並ぶ豊洲が圧倒した形だ。
もっとも、街が古いから安くなっているとは単純に言い切れない。東側の勢いを示す街としてよく話題にあがるのが錦糸町だ。
2025年時点での平均築年数は28.1年と武蔵境とさして変わらないが、ファミリータイプ物件の平均価格は7403万円と、既に逆転している。近年の再開発により、錦糸町は人気住宅街としての地位を着実に築きつつあるのだ。
23区内ですらない、武蔵野市である武蔵境を持ち出して西側の代表とすることに違和感を覚える人もいるだろう。しかし、新宿以西の中央線沿線で錦糸町を明確に上回っているといえる駅は中野(1億160万円)と吉祥寺(7848万円)だけで、荻窪(7424万円)や阿佐ヶ谷(7318万円)といった有名どころでさえ、ほぼ同格といえる。
かつては錦糸町を薦めたら「馬鹿にしてるのか」と怒られかねなかった
東側の躍進と西側の凋落をもたらしたものは、いったい何なのか。
都内の不動産仲介会社で働くA氏は「最近の若者は家を選ぶ際に職場からの距離が最優先になっている」と説明する。
かつて、中央線といえば自然豊かな住環境や多様な飲食店、教育環境などが評価され、こうした要素が選ばれる理由となっていた。
「錦糸町といえば、駅前に居酒屋や風俗街、場外馬券場が立ち並ぶため、10年前に子育てを考えている夫婦に錦糸町を薦めたら、『馬鹿にしてるのか』と怒られかねなかった」(A氏)
しかし、専業主婦が前提だった昭和や平成と異なり、今は夫婦共働きが当たり前となっている令和だ。夫婦とも都心まで通勤することを考えると、大手町駅から12分の錦糸町は多少、賑やかすぎる向きがあっても、それを補って余りある魅力がある。













