「武蔵境…あれはひでえところだぞ。まさに文明の果つるところだ」
村上春樹の最新刊『夏帆─The Tale of KAHO─』が絶好調だ。書店ではどこでも平積みになっており、発売即、大規模重版が決まった。出版不況にあっても、ノーベル文学賞を獲得できなくても、世界のムラカミの人気は健在なようだ。
さて、SNSを中心に話題になっているのが、作中での「武蔵境」の扱いだ。
「あなたは武蔵境に越さなくてはなりません。それも今すぐに」という、印象的な台詞がムラカミワールドへと誘うが、作中では武蔵境への罵詈雑言が飛び交う。
「おれは学生のときに何度か武蔵境に行ったことがあるけどさ、あれはひでえところだぞ。まさに文明の果つるところだ」
「新宿より西側の東京ってのがどうにも肌に合わねえんだ」
「景色が単調で退屈だし、人間はつんけんしているし、ぴかぴかのドイツ車が多すぎる」
西側高級住宅街より錦糸町…X上は東西論争
武蔵境の住民に故郷の村でも焼かれたのかと思うほどの言いたい放題だが、このムラカミ節に沸いたのが、これまで不遇をかこっていた東京の「東側」の住民だ。令和の高級住宅街ともいえる豊洲や勝どきなど湾岸タワーマンションを筆頭に、SNSでも勢いがある陣営ともいえる。
これまで、東側の人々は「埋立地なんて人が住むところじゃない」「本当の金持ちは西側の閑静な住宅街に住む」と言われたい放題だっただけに、この西側disに勢いづいた。X(旧Twitter)には、「西側の高級住宅街よりも錦糸町の方がいい」といった、極端な意見も飛び出している。
そもそも街の良し悪しというのは個人的な主観によるもので、優劣などない。しかし、定量的に調べる方法がある。不動産価格だ。
人気住宅地の不動産価格は上昇傾向にあるし、逆もまたしかり。今回、東京カンテイが公表しているデータをもとに、中古マンション価格の推移を調べてみた。
まず、村上春樹作品の舞台にもなった武蔵境駅をみてみよう。













