極めてセンシティブな個人情報が集積する火葬場
筆者は、この要望を全面的に支持する。
皇室関係者や政府要人の火葬を手がけてきたとされる施設が、外資系資本の支配下に置かれることの何が問題なのか。
火葬許可の申請過程では、故人の氏名、本籍、住所、生年月日、死亡年月日、死亡場所、一定の死因区分、申請者の住所・氏名・故人との続柄などが取り扱われる。これほどセンシティブな情報の取扱いを無制限に許容するのは異常である。
政府要人や著名人の火葬に関わる施設である以上、死者情報や遺族情報、参列記録などの管理体制について、国民が不安を抱かないだけの透明性と監督の仕組みが必要だ。
問題は買い手や大株主の国籍そのものではない。公共性の高い火葬事業について、親会社の支配権が変更される場合にも、行政が適格性や事業継続性、情報管理体制を確認する制度がないことだ。しかし厚労省は動かなかった。
法的拘束力のない通知を出し、「指導しました」と言い続けた厚労省
衆議院厚生労働委員会で大坪寛子健康・生活衛生局長は、火葬料金の問題について「墓地埋葬法上、都道府県知事等の自治事務とされております」と答弁し、責任を地方自治体に委ねる姿勢を崩さなかった。
そのうえで2026年4月10日の国会答弁で、2025年10月に通知したと説明したが、通知に法的拘束力はない。これは極めて重い発言だ。
大坪局長は、火葬場経営の許可等は都道府県等の自治事務であり、料金指導も現行法の運用で可能との認識を示した。一方、国の対応は法改正ではなく、法的拘束力のない技術的助言にとどまっている。これを不作為と呼ばずして何と呼ぶのか。
墓埋法が制定されたのは1948年だ。当時の立法者は、巨大な営利資本が火葬事業に参入して独占的利益を追求するという事態を想定していなかった。
法律がその時代の前提に縛られることは避けられない。問題は、1998年に厚労省の懇談会が「抜本的な法改正の必要性」を指摘してから、すでに四半世紀以上が経過していることだ。
その間、厚労省が取った手段は、主として通知による対応にとどまった。法的拘束力のない通達を出し、「指導しました」と言い続けた。これは規制でも緩和でもない。筆者は、通知による対応だけでは不十分だったと考える。












