高収入・高学歴だけでは測れない、婚活で問われる“すり合わせ力”
実際、チェンのように高収入で合理的な男性は、条件面だけを見れば婚活市場で強い存在に映る。しかし結婚は、条件の照合だけで成立するものではない。どれほど収入が高くても、相手が「この人と生活したらどうなるのか」と想像できなければ、不安は残る。
逆に、家賃21万円という選択そのものは堅実でも、それを「自分はこういう価値観だから」と一方的に説明するだけでは、相手に納得感を与えにくい。
今回の論争が広がったのは、そこに多くの人が自分自身の結婚観やお金の価値観を重ねたからだろう。
かつては「高収入男性」と聞けば、高級住宅、外車、ブランド品といったわかりやすい豊かさが想像されやすかった。しかし、今は必ずしもそうではない。稼いでいても生活はミニマルにしたい人、将来のために支出を抑えたい人、他人に豊かさを見せることに興味がない人もいる。そうした価値観は、もはや珍しいものではない。
ただし、婚活という場では「自分にとって合理的か」だけではなく、「相手にどう伝わるか」も避けて通れない。高収入なのに家賃を抑えることは、ある人には堅実に映る。別の人には、生活へのこだわりや相手を迎える準備が足りないように映る。その受け止め方の違いをどう埋めるかが、結婚相手を選ぶうえでの本質的な課題なのだ。
「年収1億円で家賃21万円」は、ぜいたくか、倹約か。それとも、婚活の場では説明不足だったのか。
答えは一つではない。だが今回の一件が示したのは、結婚における“条件のよさ”は、収入や学歴だけでは完結しないということだ。
こうしたやりとりに漫画『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』の著者・中川学さんは独自の見解を述べる。
「家賃4万円の自分からすると、家賃21万円は超高級マンションです(笑) 。年収1億円だとどれくらいのグレードの部屋がふさわしいのか…家賃250万円、サウナ、グランドピアノ付きみたいな感じですかね…発想が貧困ですみません。
相手との価値観のすり合わせって難しく、永遠のテーマと言えます。チェンさんの「倹約家気質」はなかなか変えられるものではないと思うから、彼の場合はすり合わせる努力よりも、同じような気質、考え方の人を探すのが、結婚への近道なのかもしれません。
でも彼はまだ若いから、案外大好きな子できたら自分の価値観なんてかなぐり捨ててその子にアタックしたりするのではないでしょうか」
相手の期待を理解し、自分の価値観を伝え、違いをすり合わせる。その柔軟さがなければ、どれほど魅力的な条件も、時にすれ違いの原因になってしまう。
取材・文/集英社オンライン編集部













