いったい誰が買っているのか
改めて株式会社サイエンスの担当者に話を聞くと、ミライ人間洗濯機の誕生秘話について教えてくれた。
「ミライ人間洗濯機は、元々は1970年の大阪万博で実現できなかったと言われてきた“人間洗濯機”を、弊社のミラバスやミラブルといった技術と、センシングというミライ技術によって実現したものです。“ミライ”の展示装置として作ったものであり、販売の予定はありませんでした。
しかし、昨年の大阪・関西万博で来場者に体験イベントを行なったところ、ものすごく好意的な反応が多かったんです。『これはいつ売るのか』『どこに設置する予定があるのか』といったご質問をいただいたり、アメリカの企業から導入の逆プレゼンをされたりすることもありました」
現在は15台ほどが成約済みだという。
「現在はすでに導入済みも含め、先ほどお話したアメリカの企業や大阪府内のホテルなどに合計15台ほど、設置・運用が開始または決定しています。最初の1台は構想から完成まで大体6年、費用としては1億円ほどかかりましたが、現在はご注文いただいたら1~2か月で納品が可能な受注生産体制が整っています」
しかし、今後無制限に受注を受け付けるつもりはないと担当者は続ける。
「費用的にも設備的にも導入のハードルは高いですから、永久に受注を受け付けるということは考えていません。導入いただいた施設が『これがあるから行ってみたい』と思ってもらえることが理想ですので、各都道府県に1台のイメージで、約50台を販売台数の目安としています」
最後に担当者は改めて“ミライ人間洗濯機”の役割を語った。
「ミライ人間洗濯機は、ミラバスやミラブル、心電図のセンシングといった技術のほかにも使用した水を浄化して循環させるウォーターセキュリティというシステムを取り付けることができます。このミライ人間洗濯機で一度に使う水の量は350L。こちらを何度か循環させてきれいな水として再利用することができるのです。
一般の浴槽でもお湯は約300L入るとされていますが、そこにご家族でシャワーで泡を流したり、掃除したりなどを考慮したら、実は水道代だけならミライ人間洗濯機の方が安くなることも想定されます。
新しい技術という意味で“ミライ”という名前ですが、水を無駄遣いしないことや、洗剤を流さないという、地球環境に配慮するという点も“ミライ”を見据えているのです」
ミライ人間洗濯機には間違いなく日本のお風呂文化の未来があった。湯船につかりながら、シャンプーやボディソープを使わずに身体を洗えるという点はもちろんだが、音楽や映像によるリラクゼーション、心電図による身体状態の可視化など、「入浴」という行為にさらに健康的な要素を加えることができる。
ヤマダホールディングスでの販売価格は、本体・工事・メンテナンスを含めて税込6000万円と高額だが、体験イベントは4月も実施予定。その後はお客様の反応をみて実施を検討する。ミライの選択肢として、最新のテクノロジーを体験してみるのはいかがだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部












