専門家は「覚醒剤と同じ…」持っていたという事実が招くリスク

少年たちの軽率な行動によって野球の名門校が活動休止となってしまった今回の事件。性的画像・動画の拡散は、女子生徒の人権を踏みにじる絶対に許されない行為だ。

学校内のいじめ問題等に精通するレイ法律事務所の高橋知典弁護士は、児童ポルノに該当する画像・動画の所持によるトラブルの相談は「非常に多いです」と話し、法的な観点からも警鐘を鳴らす。

「女子生徒に関して言えば、自分の性的なものを外部には見せていけませんが、直接受け取った男子生徒が、それを誰かに送ることは絶対に許されない。さらに受け取った人は罪悪感が薄く多くの人に共有してしまう。ここが非常に問題です。関わったすべての人が犯罪者にあたる可能性があります。

児童ポルノは所持しているだけで犯罪になるため、法禁物(法律上正当に所持することが認められないもの)といえます。持つだけ、渡すだけで、自分も周りの人間も次々と犯罪者にしてしまう非常に危険なもの。

また、直接関わっていなくとも、過去に所持していた事実が数年後に自分へ飛び火するリスクもあり、数ヶ月、1年後にそのような問題が明らかになった場合、例えば今回のように甲子園に出場した、受験や面接を控えている、結婚する――そういったタイミングで、動画を自分も持っていた、または渡したことがあるというのが後で発覚したとき、社会的なダメージは加害者にとっても大きい。児童ポルノは覚醒剤と同じように、持つのも犯罪という理解が必要です」

警視庁(写真/PhotoAC)
警視庁(写真/PhotoAC)

被害の大きさを考えれば、このような強い社会的制裁があるのも当然だろう。では、仮に我が子が動画を受け取ってしまったら、どうするべきなのだろうか。

「学校内であれば、まず親御さんに相談し、学校の先生にも相談した方がよい。万が一受け取ってしまった場合には、削除すべきです。直ちにそのような動画や画像が出回っていることを相談・報告した上で、削除。絶対に被害を広げてはいけません。そして適切な行動を取ることが『潔白の証明』に繋がる。 

拡散された動画の持ち主が学校内で収まっている人間関係であれば、全ての生徒にあたってもらい消してもらうことが大切です。拡散の度合いによるが、性的動画の拡散が問題になった民事訴訟で、高額なものでは過去に200万円程の慰謝料が認められた事例もあります。この点において、加害者が成人しているかどうかは関係ありません」(同前)

学校や部活動などの閉鎖的な環境下においては、当事者は「バレないだろう」「このくらいなら」という考えが働き、次第にエスカレートする傾向もある。この点について高橋弁護士は「日頃から緊密な友人関係が出来上がっていて、この中で拡散しても大丈夫だろうという、よくわからない安心感がある。この安心感が拡散をすごく広げてしまう」と警鐘を鳴らした。

性的画像・映像の拡散は、被害者の名誉や尊厳を深く傷つける行為で、絶対に許されるものではない。被害者が感じた心痛や恐怖は計り知れない。にもかかわらず、自覚なく深刻な加害をしてしまうことが拡散の恐ろしさだ。同様の事件が二度と起こらないことを切に願う。 

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班