「狙え!!賞金首の巻」(ジャンプ・コミックス第98巻収録)

今回は、派出所前を通りがかった子どもが持っていた植物の種子を使って、両さんをはじめとする警察署員たちがまるで小学生のような遊びに(職務中に)興じるお話をお届けする。

両さんがもらったのは、キク科の植物「オモナミ」の実。「ナモミ」とは衣服に「なずむ(引っかかる)」ことを意味する。子どもは皆「ひっつき虫」などと呼んでいた。

財布や衣服に使われているマジックテープのように、細かな棘が生えており、これを使って動物や昆虫の体にくっついて種子を運んでもらう。友達に投げつけて衣服にくっつけ、遊んだ記憶がある方もいるだろう。

これを手にした両さんは、すっかり小学生モードにスイッチが入ってしまう。この実を荒川土手で大量に採集すると、手裏剣に見立てて投げたり、署長や部長を賞金首扱いにした貼り紙をして、葛飾署内全体を巻き込んで忍者ごっこ遊びを繰り広げることに……。

このひっつき虫、我々が子どもの頃に遊んでいたものは、実はそのほとんどが「オオオナモミ」「イガオナモミ」といった外来種らしい。もともとは農耕文化ととともに大陸から日本に渡ってきたが、近年では自生地の減少や外来種との競合に敗れ、絶滅危惧種Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に相当しているとのこと。

なお本作冒頭は、両さんが中川や麗子に向かって、真面目すぎる日本人の生き方について講釈を垂れるシーンではじまっている。

その中で両さんは、世間によく知られた名言「悩んだらまず『生きる』モードに切り換えてからスタートだ! それからどう生きるかを探せばいい!」を口にする。ポジティブ志向でメチャクチャいいことを述べているのは事実だが、その実、勤務中に自分の遊び人気質を肯定するための無駄話をしてるのにすぎない。おまけにそのあとは、ひっつき虫での遊びに興じているのだから、何をか言わんや、だ。

『こち亀』に限らず、作中のセリフだけを切り出して「名言」扱いされている言葉はたくさんあるが、発せられたシチュエーションや真意を無視しての「名言」の一人歩きにはご注意を。

それでは次のページから、両さんと葛飾署員たちが繰り広げる、オッサンだらけの忍者ごっこ遊びの顛末をお楽しみください!!