日の目を浴びてしまったハプニングバー
ハプニングバーのルーツは偶然の産物。ハプニングをもとに川口が命名した。ピュアティの独創性を知ったAVメーカーが、それからしばらくしてハプニングバーの実態を描いたDVDの共同制作を川口に打診する。
しかしハプニングバーでは、性行為が日常的に行われていた。そのため目立つことはあまり得策ではない。何度か断ったあとにDVDがリリースされるまで、川口とAVメーカーの間でこんな密約が交わされたという。
「表向きはあくまでカップル喫茶で、ハプニングバーの単語は伏せるという口約束があった。でもAVメーカーは、それを破ってハプニングバーとして出しちゃったんです」
ハプニングバーという単語が流布した背景である。
寝首を搔かれた川口に当時の思いを聞いた。
やはり、いままでまあアンダーグラウンドでやっていたものがメジャーになっちゃった。「それでちょっと、おかしくなっちゃったんですよ」と振り返った。
まさに川口が危惧していたとおり、そこからフェーズが変わる。
DVD発売は、六本木「鍵」をはじめ、ハプニングバーに商機を見出した大手資本が続々と参入する引き金となった。そして2004年、警察当局が一斉摘発に乗り出す。ほそぼそと営業していた川口の店は無事だったものの、大手資本の多くは経営者らの逮捕をもって終幕となる。それもそのはず、新規参入組の多くは、分をわきまえず大手を振って商売していたからだ。
鍵の運営にはAV業界でトップ男優として知られていたチョコボール向井が絡んでいた。そのとき公然わいせつ罪で逮捕されたチョコボール向井が、有名人であることからして大々的に新聞各紙で報道されると、幸か不幸かそれに付随してハプニングバーという言葉も広く知れ渡ることになった。
結果、皮肉なことにさらに認知度を上げてカネ儲けの道具にする者が相次いだ。
川口はこの摘発劇について、「当然でしょう。本来は日陰の存在であり、趣味嗜好が合う変態だけが密かに集い、家賃やメシ代が出て楽しく遊べればいいくらいじゃないといけないハプニングバーが、あろうことか日の目を見てしまったんだから」と語る。
文/高木瑞穂












