上限は1回5万円
はじめてスパチャを投げる時には、心理的な葛藤はなかったのだろうか。
「最初は1000円くらいだったと思います。もともとソシャゲの『FGO』を10年ほど前からプレイしていて、合計で200万円くらいはガチャに課金しているので、投げ銭には抵抗感がありませんでした。そもそもガチャやスパチャは現金を直接支払わないので、お金を払っているという実感が乏しいんですよね」
課金はカードなどからの支払いが中心で、「身銭を切っている」感覚が誤魔化されている。
「1回投げると、次からは抵抗がなくなるんです。VTuberのオタクは、“覚悟なく”お金を使っているんですよ」
「覚悟」とは?
「たとえばオンラインサロンに月会費を払ってメンバーになる人なんかは、自分を高めたいとか、ポジティブな目的を持って参加すると思うんですけど、それに比べればVTuberへの投げ銭は、『何かを獲得しよう』みたいな意識はなく、ぼんやりと投げている人が多いと思う。
最初に誰かがスパチャをすると、それが呼び水となって、みんな投げはじめるんですよ。動機としては、配信者に自分のコメントを読んでもらいたい、くらいじゃないですかね?」
【リョウ】自身はどんな動機でスパチャを行うのか。
「僕の場合は、配信者に対して『お疲れ様』ぐらいの感覚ですね」
YouTubeのスパチャは100円から送ることができ、上限は1回5万円、1日5万円となっている。iOS端末からの場合はApp Storeへの手数料が発生するので、そのぶんを上乗せした金額(7万8800円が上限)になるが、ともあれ彼が選んだのは最低金額の100円ではなく、1000円だった。
「スパチャは金額によって入力できるコメントの文字数や固定表示時間が変わるんですよ。100円だとメッセージは送れないし、すぐにチャット欄から消えてしまいます。1000円だと200文字までメッセージを書くことができ、5分間は表示され続けるので、配信者の目に留まりやすい。1万円以上だと投稿が赤色になるので『赤スパ』とも呼ばれています」
スパチャの色は、金額に応じて青、水色、黄緑、黄色、オレンジ、マゼンタ、赤と変化し、人気配信者のチャット欄は色とりどりのスパチャで虹色になる。高額のスパチャほど視認性の高い色が使われており、赤スパならコメントの文字数も表示時間も長いので、配信中に「推し」にコメントを読んでもらえる可能性は高くなる。
1万円なら270文字を1時間、上限の5万円なら350文字を5時間表示できるので、配信のたびに赤スパを投げていれば、間違いなく配信者からは認知されるだろう。
なお、視聴者の投じた金額のうち、約30%がYouTube運営側の取り分とされており、事務所に所属するVTuberは残りの約70%を事務所との契約によって配分する。
たとえば視聴者が1万円の赤スパを投げたとして、VTuberの手元に入るのは3000円から4000円程度だろう。VTuberやYouTuberはスパチャの金額が世間的には注目されがちだが、実際はスパチャだけで生計を立てることは難しく、広告収入、メンバーシップ、グッズ販売を含めた収益がクリエイターの収入となる。













