海外で「誤解」されそうな『サザエさん』の難しさ

「長谷川町子先生の原作は、一部の歴史的背景やその時世に鑑みたもの以外なら、ギャグやコントとして海外でもウケると思われます。我々が『チャップリン』を観るような感じかも知れません。

だから外国で放送するなら原作を多く使っているエピソードが最適なのですが、今のサザエさんは、少ない原作からドラマを作る形がほとんどなので、個々のキャラの魅力にゆだねる部分が多くなるかと思います」

一方で、海外では誤解されそうな点も具体的に挙がった。

所長が指摘したのは「複雑な家族関係」。たとえばサザエがカツオとワカメの“姉”であり、タラちゃんが二人にとっては“甥”にあたることは、日本の視聴者の中でも勘違いしている人がいる。

福岡のサザエさん通り(写真/PhotoAC)
福岡のサザエさん通り(写真/PhotoAC)

年齢だけ見るとタラちゃんは兄弟にも見えるため、初見の海外視聴者にその関係性をしっかり理解してもらう必要性があるだろう。

また、秋葉氏が気にしているのは、作品の魅力のひとつである「サブタイトル」の言葉遊びが、台湾の視聴者にどこまで届くかという点だ。

「剣よりペンの穴子さん」「姉さんの勝負服」「タラちゃんクワバラ」「夫婦ゲンカは誰が食う?」「縁の下のワカメ」「穴子さんの服の神」「父さんの三度笠」といったサブタイトルの数々。

秋葉氏は「サザエさんは日本ならではのサブタイトルが多く、面白さが伝わりきらないかもしれない」と指摘する。確かに日本人なら“なんとなく分かる”ニュアンスでも、翻訳されるとその笑いが100%伝わるとは限らない。翻訳の仕方はとても難しいだろう。

さらに秋葉氏は、日本の季節行事についても指摘する。お花見、鯉のぼり、ゴールデンウィーク、梅雨、七夕、夏休みの宿題、紅葉、焼き芋、年賀状……。日本人の生活に溶け込んだこれらをエピソードのテーマにすることの多い『サザエさん』。

日本人ならもちろん、説明なしに観ても理解できるが、海外の視聴者からすれば「なぜこんな行動を?」となってしまうかもしれない。

そして気になるのが、「海外でバズるとしたらどのキャラか」という問いだ。ここでは二人の見立てが分かれた。