過去には「逆子だったかどうか」を書かせる学校も…
前出の武田室長によれば、母子手帳の写しを提出させるほか、子どものアレルギーや病気を確認されるケースもあるという。
「どの小学校でも子どもの健康状態は書かせますが、その中にアレルギーに関する項目があります。中には保護者から『うちの子は自分で判断できるから書かないでもいいでしょうか』と聞かれることがあります。
実際、お子さんの推薦入学の面接で、乳幼児期にアレルギー反応が出て病院に救急搬送されたことをお話しされたお母さんがいらっしゃいました。すると和やかだった面接の雰囲気がガラっと変わってしまって、結局その子は落ちてしまいました。
学校側はそれが直接の理由とは言いませんが、『もしお預かりして、万が一の命に関わるようなことがあっては怖い』と説明していました。
ほかにも、てんかんをお持ちのお子さんが、そのことを隠して入学して、学校で発作を起こしてケガをされてしまったこともあります。このように保護者がお子さんの健康状態について隠すことは実際にあります」
確かに合否は大切だが、その過程で子どもの健康に関わる情報が隠され、子どもの命に関わる事態につながりかねないのであれば、憂慮すべき問題だろう。
長く幼児教育に携わってきた武田氏によれば、過去にはさらにこんな事例もあったという。
「ずいぶん昔のことですが、『出産時に逆子だったかどうか』を書かせる学校もありました。何のために聞いているのか、私も分かりませんでしたね。ほかにも、父親と母親の初婚の年月日だとか、自宅の間取り、お手伝いさんが何人いるかといったことを書かせる学校もありました。
保護者の皆様は、受かりたい一心で、藁にもすがるような気持ちで受験にのぞまれています。それゆえにこういう形で憶測を呼んで、『より条件が良いほうが入れるんじゃないか』と考えてしまうのかもしれません。
保護者の皆様も『どこで判断されてしまうかわからない』という怖さがあると思いますが、噂話には振り回されないことが大切です」
武田室長によると、都内のある私立幼稚園からは次のような回答が寄せられたという。
「生まれた際の体重は入園した際に聞くが、それはあくまでどうやって育ててきたかを知るためで、それで合否を決めているわけではない。発達が遅いケースもあるが、それを重視しているのではなく、当日の面接を見ている。あくまで参考資料。説明会でも母子手帳のコピーを求めているので、それをご理解した上での出願をお願いしている」
また別の私立幼稚園・保育所からは、
「乳児を預かるケースであることが前提です。発熱やケガなど、いざとなった時に正しい対処が必要なので、健康の状態、予防接種の状態などを伺って、安全にお預かりするという目的で聞いています。考査で振り分けるために聞いているのではありません」
という回答とともに、考査の判定基準については「一切お答えできない」とコメントがあったと話した。
母子手帳の情報によって合否を決めているかどうか、幼稚園・小学校側は選考基準を開示していないため本当のところはブラックボックスになっている。しかし、「出血多量で産まれた子は不合格」などと非合理な基準で合否を決めている園や学校が仮に存在するとしたら、そういったところへは通わせない方が子どものためになりそうである。
健康状態を学校側に把握してもらうことは大切な子どもを預けるにあたって重要だ。母子手帳には正確な情報を記載することを心がけたい。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













