「日本は基本的には世界に開かれた国としてこれからも発展をしていかなければいけない」

――宮城県でも同様に土葬墓地の問題がクローズアップされ、県知事選挙では「あの候補者は土葬を推進している」という言葉で、対立候補を攻撃する動きもありました。死生観に関わると指摘されたこの問題で感情を刺激するこうした現象が起きていることをどうみますか。

いたずらに差別的で偏見に基づいた情報を発信することで、地域の対立や分断がもたらされる。地域にとどまらず国全体でもそういうことが増えていく、ということは本当に好ましくないことだと思います。

やはり日本は基本的には世界に開かれた国としてこれからも発展をしていかなければいけないと思っています。政府が言う“外国人との秩序ある共生社会”をいかにして作っていくかという観点から問題を考えていくことが必要です。

2025年の訪日外国人客数は、年間初となる4000万人超えが確実視されている(写真/Shutterstock)
2025年の訪日外国人客数は、年間初となる4000万人超えが確実視されている(写真/Shutterstock)
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――岩屋さんは、政治家としての視点とともに「死んだら火葬しなければダメだ」という声がイスラムの人に向けられていることに感じるものがあって、この問題に取り組んでいるのではないですか。

私の地元で発生した問題ですから、地域の皆さんの要望を受けて政府与党に伝えているということですね。私じゃなくても地元選出の国会議員であれば当然、同じことをしたと思います。

英仏や韓国、台湾などはイスラムの方々の埋葬にはかなり適切に対応しており、諸外国の事例も参考にどういう基本方針を作るのが望ましいのかを国も考えていくべきではないかと思います。アメリカも映画でよく埋葬のシーンが出てきますけど土葬はまだ多いじゃないですか。

今の日本人の感覚としては火葬が当たり前ですけど、“郷に入っては郷に従え”と言うだけで済む問題かというと、それほど簡単ではないですね。仏教でいうと「成仏できない」という話ですからね。

それを小さな自治体に『あなたたちだけで判断しなさい』と言うのはやっぱり無理があると感じています。

#2では石破内閣での外交や日中の緊張激化について聞いた。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班