死刑執行当日の様子
死刑執行当日の経緯
9月14日、午前9時40分頃、自宅に直接、大阪拘置所の職員(=総務部 調査官 法務事務官 花岡栄次氏)が来訪。
インターホン越しに、
「大阪拘置所の者ですが、少しお邪魔させてもらいますが宜しいですか?」
名刺で大阪拘置所の職員であることを確認。慌てて、「何かあったんですか?」と聞いたものの、職員が口を開こうとしたその瞬間に、最悪の光景が目の前に浮かび、思わず両手で耳を塞いでしまった。恐る恐る職員のほうに目を向けると、「近くに車を止めてありますので、その中でお話を…」と促される。
「まさか、こんなに早くの執行はないだろう」と、気がどうにかなってしまいそうな自分自身に言い聞かせ、どうか、「房の中で暴れた為に、懲罰房に収容しました。おとなしくするように、奥さんの方からなんとか本人に言い聞かせるようにして下さい」と、そんな類いの話であることを必死に祈りつつ、案内されるままに職員についていく。
駐車してある車の場所まで歩いている間に、「本人はキリスト教の教誨を受けているが、奥さんもキリスト教の方なんですか?」等、質問される。その話のすぐ後に、
「今朝、綺麗に逝きましたよ」
と聞かされる。
信仰の話から突然、あっさりとそのような言葉を聞かされた為、一瞬、自分で自分の耳を疑う。何がなんだかわからないまま、耳を塞ぎながら路上に座り込み、大声で泣いた。「こんなところで泣かれると困りますよ」と職員に無愛想に言われ、早く車の場所までついてくるよう急かされる。
車には、運転手の職員がもう一人居、私と花岡氏は後部座席に乗り込む。
「なぜこんなに早いんですか? 刑確定からまだ1年ですよ? 異例じゃないですか!?」
と質問すると、
「本省(法務省)が、慎重に慎重を重ねた検討の上での結果です」
と職員が言う。
その後、職員からは、
「本人は、“遺骨”での引き取りではなく、“遺体”での引き取りを希望されていて、奥さんもその件については承諾済みだと本人からは聞いておりますが、それで間違い無いですか?」
「今日、拘置所に遺体を引き取りに来られますか?」
「埋葬許可証の発行の手続きの関係もありますので、斎場がどこになるのか、等の連絡だけは先に電話で頂きたいのですが、どこで火葬するのかは、もうお決まりですか?」
「手続きの関係上、引き取りは午後にしてもらいたいのですが、何時頃に来られますか?」
「遺体を運び出す際、拘置所から車を出すことも可能ですが、拘置所で手配しましょうか? それともお宅で手配なされますか?」
等々、次々に、実に事務的に尋ねられた。













