公明は自力での小選挙区での当選は難しい
そもそも論として、今回のプログラム法案でさえも成立はおぼつかないのが現状だ。自民と維新は衆院ではかろうじて定数465の過半数の233を満たしている。
しかし、参院では自民+維新は119議席だ。参院の定数248の過半数125に対し、6議席も足りない。法案の成立には野党の協力が欠かせない。
自民と対峙する立憲民主党の協力は期待できそうにもない。現実的に取り込めるとしたら公明か国民民主、参政党だろう。
自民との連立を解消した公明は自力での小選挙区での当選は難しく、さらに所属する国会議員を減らすリスクを抱えている。
そうした状況で、定数削減自体に協力する動機がそもそもない。公明は比例区が有利になる小選挙区比例連用制など独自の選挙制度改革案を準備している。
自民重鎮「定数削減なんて誰も積極的に動かない」
一方、国民民主党も定数削減とともに選挙制度の改革を提起している。具体的には中選挙区連記制を掲げる。定数3の選挙区を全国に140設定する。
連記制とは有権者が1人で2票を持つ制度だ。定数3で1人の有権者が二人の候補の名前を書けるため、多党制になりやすいと言われている制度だ。「穏健な多党制」を提起する国民民主党に沿った選挙制度改革案だ。
与野党に限らず、党利党略で定数削減と選挙制度改革を一体にして進めることを狙っているため、とても1年後にまとまることはないだろう。自民の重鎮はこうささやく。
「定数削減なんて誰も積極的に動かないだろう。維新に出て行かれたら困るから高市さんが勝手に合意してしまった。1年後に爆発する時限爆弾を抱えただけだ。1年後には衆院解散してでも民意の力を得るぐらいしか手段は残っていないだろう」
文/長島重治













