「指を折れ、ガラケーみたいにしてやる」
2024年9月頃から10月末にかけて首都圏を中心におきた「闇バイト」による強盗事件。警視庁は12月5日、その指示役として福地容疑者など計4人を強盗傷害と住居侵入の疑いで逮捕した。
同年10月17日、千葉県市川市の住宅に押し入り、住人の女性を蹴るなどして重傷を負わせ、埼玉県の宿泊施設に連れ去る事件が起きた。
現金約4万8000円と軽自動車など計15点が奪われたほか、奪ったクレジットカードで計200万円相当のネックレスなどが買われた。実行役として、高梨謙吾被告(22)がすでに逮捕され、今年10月に懲役16年の判決が出ている。
そして今回逮捕された4人は指示役として、高梨 被告に住宅を襲い強盗をするように指示した疑いがある。
社会部記者が解説する。
「2024年に彼らが関与した闇バイト事件は約18件 あります。それぞれ実行役がSNSで募集され、秘匿性の高いアプリでやりとりをするなど、2022年~2023年にかけ発生した広域強件事件の模倣犯として警察が捜査を進めていました。
指示役は実行役らに、強盗の指示のほか『指を折れ、ガラケーみたいにしてやる 』などと暴行の指示もしており、悪質で極めて残忍な犯行です。17日の市川市の件以外にも複数の強盗致傷や強盗殺人に関わっていると見られ、警察は余罪の追及を急いでいます」
指示役だった福地容疑者ら4人は、準暴力団「打越スペクター」と関係があるとされているという。また、福地容疑者、齋藤容疑者、村上容疑者ら3人は別件ですでに逮捕されていた。
「福地は(この中で)一番の“ワル”で、茨城県に生まれ、これまで何度も逮捕歴があり、詐欺や窃盗、傷害、それ以上の凶悪事件でも逮捕され懲役3〜5年ほどの実刑判決を受けている。
齋藤は埼玉県生まれで、村上は鹿児島県生まれ、どちらも薬物関連の事件で逮捕され、執行猶予付きの判決を受けている」
「上納金をめぐって犯行に及んだ」という線が濃厚
お墨付きのワルである彼らがどうして闇バイトによる強盗事件に手を染めたのか。捜査関係者の間では「上納金をめぐって犯行に及んだ」という線が濃厚だという。打越スペクターに詳しい30代の男性は匿名を条件にこう話す。
「彼らの金は不良仲間のOBだったり、さらに上部の組織に流れているはずです。もともと打越スペクターは“ケンカ上等”といった武闘派スタイルで知られていたものの、2000年代後半あたりから詐欺などに手を染めるようになっていった。
もちろん打越OBから相当な批判があったが、グループ内の特定のメンバーが中心となってスキームを作り、膨大なお金を集めてそれなりの地位を築き上げた。そのなかでもOという男が特殊詐欺においてアタマを張っており、現在はすでに逮捕されているが数億円する都内のタワマンに住んでいた。
ただ、Oに黙って特殊詐欺を行うと殺される可能性があり、4人は特殊詐欺のスキームを強盗に転用したはずです。特殊詐欺で使う出し子や受け子を実行役にすればいいだけの話ですから」
そして出来上がった「第二の広域強件事件」で主犯格だった福地容疑者。そんな福地容疑者を知る地元の知人は、今回の逮捕を受け「あいつならやると思った。驚きではなく、だろうなと思った」とあきれた表情をみせた。
「ヒロト(=福地容疑者)は人の不幸、例えば泣いたり落ち込んだりしているのを見ても、ケラケラ笑って楽しんでいたヤツでした。茨城県のちょっとした名家に生まれ、4人きょうだいの次男として育てられました。ただ、小学校時代から素行が悪く、近隣からは『あの子と関わらないように』とまで言われていたほど。
中学校へ進学しても素行の悪さは変わらず、県立の農業高校へ進学してもすぐに中退。その後、凶悪事件に関わったとして少年院に送致され、出てきて成人になっても悪さを繰り返した。今年8月、高齢者をだました容疑で詐欺で逮捕された報道を見た。何度逮捕されれば気が済むのか……」
福地容疑者や指示役グループは、秘匿性が高いアプリで、「GG」「クロロ」「ファルコン」「GGG」「名無しのゴンタ」「PTA」などと名乗り、自らは手を汚さず実行役に犯行を指示していた。末端の犯行グループのなかには無理矢理事件に加担させられた者もいるという。被害者のみでなく多くの人生を狂わせた4人は逮捕され、いま何を思うのか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













