希少がんにまつわる様々な困難
希少がんになった時に直面する問題のひとつに、個々のがんの症例数が少ないため、その病気に関する知識の共有や治療法の開発が進んでいないという点が挙げられます。そもそも、診断をつけること自体が困難である場合も多く、それによっていくつかの固有の課題が生じます。
まずは、①病名診断が難しく確定までに時間がかかることが少なくないという問題が立ちはだかります。先ほど述べたように、希少がんを専門的に診断できる病理医は限られており、仮に診断がついたとしても、その疾患に詳しい医師のもとで治療を受けることが容易ではないため、②担当医が適切な治療方針を選択できないケースが多いのです。
また、医師でさえ、専門的な知識を得ようと調べたくても、③正確な情報が得られる方法や相談先がわからない。そして患者さんは治療を受けたくても、④どういった専門病院やどこの診療科を受診すべきか、あるいはセカンドオピニオンの相談先さえわからない。
さらに、希少がんは治療法が確立していないことがほとんどで、先進的な医療に望みを託して、そうした治療を受けたいと希望しても、⑤自分の病気を対象とした臨床試験や治験、がんゲノム医療(遺伝子解析に基づいて個別に治療法を選択する医療)がどこで行われているのかがわからない。
こうした状況を改善するために、国では2023年に第4期がん対策推進基本計画が閣議決定され、その基本方針の中に「2.患者本位で持続可能ながん医療の提供(2)希少がん及び難治性がん対策」が盛り込まれました。
国立がん研究センターでは2014年に希少がんセンターが発足して、「希少がんの正しい診療を行うこと、希少がんに関する新しい知見を集め希少がんの研究、治療開発を推進すること、さらに実際の診療・研究活動を通して、希少がん医療の課題を明らかにし、解決してゆくこと」を目標に掲げています(国立がん研究センター希少がんセンターホームページ「センター長ごあいさつ」より)。













