クマ目撃現場に行く市の職員の装備はヘルメット、盾、スプレーのみ

鹿角市の隣に位置する大館市では、いま自衛隊派遣を調整中だ。大館市役所林政課によれば、クマの出没件数は例年の8倍となる1200頭を超えているという。

「1日に10件は必ずクマの目撃情報が届きます。多いときは、30件以上の日もあります。2023年に初めてクマが人の生活圏内に出没するようになりました。

人間は危害を加えない。攻撃もしてこない。そしてエサも食べることができる。そういった成功体験が、今年のクマにあるのではないかと考えられます」(林政課課長)

大館市役所(撮影/集英社オンライン)
大館市役所(撮影/集英社オンライン)

大館市には現在、105人のハンターが市から委託を受けて活動している。クマを捕獲するために使用する檻は40基あり、2年前より2倍の数を稼働させている。

市内でクマに関する通報が市役所や警察にあった場合、市の職員と警察官が最初にクマの現場へ出向くことになる。そこでハンターに捕獲や駆除を依頼するかを判断する。

「初動時にハンターさんはいないわけですから、車から降りる際はクラクションを何回か鳴らして、周囲の警戒を怠りません。私たち市の職員の装備としては、ヘルメットを被り、盾を持ち、スプレーを準備しているだけです。これまで市の職員が熊によって怪我をした事例は幸いにもありません」(林政課課長)

ところが、例年とはケタ違いの目撃情報が相次ぎ、ハンターによる駆除や捕獲で頭を抱えることも少なくないという。

「ハンターさんは高齢化が進み、またハンターだけで生計を立てている人はほとんどいないため、今後もしクマの出没が相次いだら今の体制で捌けるかは懸念点です。

また、ハンターが銃を打てるのは基本、檻に入った熊を殺すときがほとんどです。檻に入ってないクマを発砲することは、少ないケースです。 それくらい銃の取り扱いが厳しいんです。そのほか、日没後は絶対に発砲することができないので、スプレーだったり、爆竹など音の刺激でクマを追い払うことしかできないため、必ずしも駆除できるとは限りません」

秋田県では鈴木健太知事がこれまで「極めて深刻な状況」と判断し、「県と市町村のみで対応できる範囲を超え、現場の疲弊も限界を迎えつつある」と訴えている。クマは冬眠する前の11月いっぱいまで、行動予定だという。

大館市内(撮影/集英社オンライン)
大館市内(撮影/集英社オンライン)
すべての画像を見る

※「集英社オンライン」では、クマについての情報、ご意見を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(旧Twitter)
@shuon_news  

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班