日本に求める防衛負担増と核戦略
ヘグセス国防長官が公開した暫定の国家防衛戦略指針の優先順位は、米国本土の次に対中国が位置付けられている。
中国の現実な脅威に対して、日米の協力関係が進むことは良い事だ。しかし、トランプ政権側から重い宿題を突き付けられることも同時に覚悟するべきだ。
一つは日本の対GDP比の防衛費負担の拡大だ。コルビー国防次官は日本側にGDP比3.5%までの防衛負担を求める旨を度々言及している。日本側が直ぐにそのような予算拡大が可能であるかは疑問であるが、遅かれ早かれ日本側としては何らかの対処が必要となる。
また、日本は核戦略を持っておらず、この点も日米の安全保障協力を強化する上で課題となる。日本が自ら核を持たないにしても、日米でどのように核の傘を機能させていくのか、日本としてはこの問題にどのように考えているのか、を示すことは必要だ。
小泉進次郎防衛大臣は原子力潜水艦導入の可能性に言及しているが、軍事製品を購入する以前にどのような枠組みで、それらを機能させるのかを示すのが常識だ。
そのため、高市政権では安保関連文書を米国側の国家防衛戦略の改訂に合わせて見直し、日米の安全保障に関する協議枠組みを強化することで合意が得られることになるだろう。
トランプ氏が求める高市氏のポリコレ対応
さらに、インド太平洋地域での日本の役割拡大も議論されることが予測される。トランプ大統領の周辺は台湾防衛強硬派が揃っているように見えるが、米国全体の対台湾政策の方針はまだ不透明感がある。
台湾自身もどこまで対中戦争の覚悟が決まっているかも真意は測りかねる。そのため、善後策として日本側はOSA(政府安全保障能力強化支援)を通じたインド太平洋諸国への後押しを求めることになる。
日本とインド太平洋諸国との軍事的な協力関係の強化に関して、戦後の日本の在り方を払しょくして防衛外交を展開する好機である。
第三に、ポリティカル・コレクトネスへの対応だ。
トランプ大統領はこの点に関しては、日本に対する要求としては具体的に言及しないかもしれない。しかし、トランプ政権にとって相手国の指導者が「馬が合うか合わないか」を占う上で重要な試金石となる。













