息子からは「もっとノイズが欲しいかな」
──ところで、2016年には映画『ONE PIECE FILM GOLD』に楽曲提供されたことに驚いた記憶があります。そのときのお話もお聞きしたいです。
私、あんまり漫画は詳しくないんですけど『ONE PIECE』はコンビニにも置いてあるし、絵は知ってました。作者の尾田栄一郎先生が、昔から私の曲を聴いてくださっていたそうで、映画の曲をやってほしいと。それで打ち合わせをして、私の曲でいうと『パレード』みたいな、テンポが速くてスウィングしてる曲調のものがいい、ということで作曲しました。試写会も、子どもと一緒に観に行きましたよ。
──いいですね。お子さんは音楽を聴かれるんですか?
(爆笑して)みんな、それ聞くんですよ、気になりますか(笑)? 2人子どもがいて、上の子は私に近い感じでミュージカルとかジャズとかが好きですけど、下の子はAC/DCとかブラック・サバスとか、激しいロックが好きですね。
私も一応聴いてみて、最初はイヤだったけど、だんだん面白みがわかってきました。ライブでこういう所で盛り上がって、ウォーッ! て手を振り上げるんだろうな、とか(笑)。
──下のお子さんは、小島さんの音楽については、どう思ってるんでしょうか?
「ママの曲はギターにもっとノイズが欲しいかな」とか言ってますね(笑)。『恋の極楽特急』『結婚相談所』だけは好きみたいですけど。上の子は上の子で「またテンポが速い曲を作ってほしい」とか、それぞれ好みがありますね。
──お子さんの影響で、何か作風に変化はありましたか?
うーん、子どもと自分の音楽は切り離したいというか、子どもの意見を聞いたりはしないですね。だって、ヤじゃない? 子どもに良いと思われたくて作るって。私はイヤですねえ。
──そこはきっぱり、分けてるんですね。お子さんがもう少し小さかった頃のことも教えてください。
とにかく、スタッフや周りに助けてもらっていましたね。羽山 くん(現在の事務所の代表)なんか、子どもを抱っこするんだけど、ベッドに降ろすと泣くから、ずっと抱っこしてて。ようやく眠ったから、慎重にベッドに寝かせるんだけど、手を離した瞬間に泣き出しちゃって。
──そのお子さんも成長されて、今はある程度、時間にも余裕が出てきたと。
そうですねぇ、でも(活動のペースを)子どものせいにしてるけど、私自身の問題もあったかと思います。辞めずに続けてこれたのは、スタッフやバンドのみなさんのお陰です。
それとやっぱり、聴いてくれる人たちがいるからですね! 昔からのファンの方もですし、最近新たにこんにちはした人も、もう、聴いてくれるというだけでうれしいです。
──今後の予定は?
年末にライブがありますが、ライブはもっとやっていきたいですね。それと、新曲も準備しています。スタジオに入って、ラフな状態ですが、もういくつか録っていますよ!
取材・文/Shoichiro Kotetsu 写真/野﨑慧嗣
〈リリース情報〉
『30th Anniversary Best 小島麻由美グラフィティ』
1995年のデビューから、その独自の音楽性で高い評価と根強い人気を持つ小島麻由美。 30周年の記念アイテムとしてキャリアを俯瞰する新たなベストアルバムをリリース。全21曲を収録した高音質UHQCDと、前期、後期で楽曲を分けて収録したカラーヴァイナル仕様のLP2作品でのリリース。ジャケットのイラストは、マカロニえんぴつのCD ジャケットや書籍装丁で活躍中の飯田研人氏が描き下ろし。














