「地域や生活スタイルに応じた多様なニーズにお応えするために販売を継続」
手間はかかるいっぽう、洗浄力の高さなど他の洗濯機にはない利点からいまだに愛用者の多い二槽式洗濯機。現在も販売を続けるメーカーに話を聞いた。
「2槽式洗濯機『青空』PS-65AS2」などの販売を行なう日立グローバルライフソリューションズ株式会社の担当者は、「物価上昇による節約志向の高まりを背景に、国内の家電市場は依然として厳しい状況が続いており、洗濯機の需要は前年に比べて鈍化している」と現状を説明。そうしたなかでも、同社の二槽式洗濯機は「一定のニーズに支えられ、売上は計画に対して堅調に推移」しているという。
同担当者は、現在も二槽式洗濯機の販売を続ける理由について次のように話した。
「当社では、地域や生活スタイルに応じた多様なニーズにお応えするため、二槽式洗濯機の販売を継続しております。特に水の使用量や洗濯時間を細かく調整したい方、洗濯と脱水を分けて使いたい方など、根強い需要があることから、一定のラインアップを維持しております」
また「明確な調査結果はありませんが」と前置きしつつも、購入者が二槽式洗濯機を選ぶ理由として、「洗濯と脱水を個別に操作できる利便性(洗濯中に次の脱水を並行して行うなど)」「水量や洗濯工程の調整(すすぎ回数や脱水時間の調整など)により、お客様のお好みにあわせたご使用ができる」といった点が考えられると説明した。
実際の利用者からは、販売店やカスタマーサポートを通じて「洗濯槽が分かれていることで衛生的に使える」「水量や洗剤量を自分で調整できるのが良い」「シンプルな操作性が高齢者にも使いやすい」といった意見が届いているという。
現時点では二槽式洗濯機の販売は継続しているが、「今後の市場動向やニーズの変化に応じて、ラインアップの見直しを行う可能性はあります」と担当者は話した。
さらに、「2槽式洗濯機NA-W50B1」などの販売を行なうパナソニック株式会社では、「幅広いお客様の生活スタイルとご要望に沿う」ため、現在も二槽式タイプをラインアップに加えているという。今後の販売について、同社の担当者は「しばらくはお客様の動向を見ながら継続する予定です」と話した。
利便性や効率性を追い求める消費者が大半を占めるいっぽうで、洗浄力や自由度の高い使い方ができる二槽式洗濯機を選ぶ消費者も一定数いる。何が「便利」なのかは、人によって異なるのかもしれない。発売から半世紀以上が経った今もなお支持され続ける二槽式洗濯機は、「多様性社会」を象徴する存在と言えるだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班