握手会で意識していた“相手からの画角”

2023年に舞台『Bumblebee7』で主演を務めるなど、演技にも取り組む須田亜香里。今年9月19日には、出演映画『男神』が公開される。本作で彼女が演じる山下愛子は、建設会社の社長の娘で、同じ会社の男性陣よりも数倍も働く“男勝り”な女性。

顔を泥だらけにし、ショベルカーを運転するなど、アイドル時代からは想像もできない演技を見せる。


――愛子は言葉も荒々しい女性ですが、演じる上で難しかった点はありましたか。

須田亜香里(以下、同) あんまりなかったです(笑)。私、形から入るのがすごく好きなので、衣装を着て、メイクを泥だらけにすると、必然的にちょっと動きが荒々しくなるというか。座る時には膝揃えなくなるし、あぐらかきながらグミ食べていたりとか(笑)。

男勝りな役を演じた須田亜香里 (C)2025「男神」製作委員会
男勝りな役を演じた須田亜香里 (C)2025「男神」製作委員会
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――でも、やはりアイドルの印象が強いので驚きました。

そうですか?(笑) でも、私は兄がいたりとか、母方のいとこは全員男の子だったりと、子どもの頃は全員男の子の中で1人女子みたいな環境が普通だったんですよね。メンズの中で育ったので、女の子らしく育てられたっていうよりは、メンズと一緒に遊んで楽しい育ち方をした子ども時代でした。だから、今回の役も難しいと思うことはあんまりなかったですね。

逆に“かわいらしさ”の引き出しみたいなものは、あんまり子どもの頃からなくて。母がかわいいお洋服が好きだったから、花柄とかフリルのついた洋服を着せてもらうことはあったけど、そんな服を着ても変顔していたりとか(笑)。

新作映画では男勝りな女性を演じた須田亜香里 撮影/廣瀬靖士
新作映画では男勝りな女性を演じた須田亜香里 撮影/廣瀬靖士
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――これまでの話を聞くと、アイドルとしての座を掴むために相当、努力や研究したのでしょうか。

アイドルもキャラクターとして研究していたところはありました。楽曲では、曲の主人公を自分の中でイメージしていましたし、握手会の時も“オンの私”でいようというか。

握手会に来る方には、「自分なんかが会いに行っていいかな」といった不安と、何日も前から楽しみにしてくれるワクワクが入り混じって、緊張する人もいます。そういう人にどうやったら「あなたが来てくれて嬉しいです」っていう気持ちが伝わるかを、特にいらっしゃった方から見た画角でいつも考えていた気がします。

――そういったアイドル時代の経験は、演技にも活きていますか。

活きていると思います。やっぱり画角の中にどう収まるかは、映画のお仕事ではほんとに大事なことだから。こういう動きをしたら演じる役柄の人に見えるだろうなとか、ここで笑っているとこう見えるとか。画面の向こうの人はどう思うだろうって想像しながら作っていくのは、割と楽しくやれているのかなとは思います。