「寿司ロボ・にぎっ太くん!の巻」(ジャンプ・コミックス第84巻収録)
今回は、8月23日からお届けしている「江戸っ子すし講座の巻」ジャンプ・コミックス第47巻収録)で両さんとバトルを繰り広げた寿司店「大尽ずし」の店主が再登場し、再戦に臨むお話をお届けする。
本作が描かれたのは、1993年。バブル景気がすっかり弾け、不景気・ゼロ成長時代へと日本が突入したころ。大尽ずしでは閑古鳥が鳴いていた。そこで大将は一念発起し、回転寿司へと業務形態を大胆にチェンジ。さらには寿司を握る人間型ロボットを導入することに。
回転寿司は、1970年代からチェーン展開が始まっていた。
そして寿司ロボットはというと、1981年に「鈴茂器工」がはじめて製品化し、本作が描かれた時期には既に市場に導入されていた。
現在では、スーパーのパック寿司や回転寿司など、安価に大量の寿司を提供する現場では不可欠な設備となっている。もちろん人間型であることや人間の言葉でコマンドを入力する必要はまったくないし、実際、そんな製品は登場していない。
近年では、調理の全行程をまかなえるロボットや配膳ロボットが導入され、オーダーは客席にある端末や客自身のスマホで行う…といった飲食店も存在する。だが残念ながら、本作のにぎっ太くんのように、それらのすべてを人間と同様にこなすメカは登場する気配はない。
ちなみに、本作のような個人経営店に調理ロボットや回転式レーンをフル導入するのは、はっきりいって無謀だ。そもそも回転寿店には通常の飲食業とは桁違いの設備投資が不可欠なため、大資本下の店でないと生き残るのは困難なのだ。
寿司ロボットは数百万円程度で購入できるが、あくまでシャリを握るという単機能の機器であり、ネタを切ってシャリに乗せて握り寿司を完成させられるわけではない。そして回転レーンはというと……500万円から数千万円ほどすると言われている。
はたして本作ののち、大尽ずしはどうなったのだろうか……。
それでは次のページから、両さんと寿司店大将のバカバカしくも壮絶ないがみ合いをお楽しみください!!