約100人のユニフォーム姿の部員が整列して一斉に歩き始め…

広陵高校は春夏合わせて甲子園出場53回、うち春のセンバツでは優勝3回という高校野球界の超名門校で、プロ野球選手が多数輩出している。

OBである中井哲之監督(63)は低迷期の1990年に27歳で監督に就任、センバツで2度の優勝に輝くなど名伯楽の呼び声も高く、長男の惇一さん(30)も部長、妻も野球部寮の寮母を務めるなど一家で名門野球部を支えてきた。

広陵高校野球部員が移動するバスにつけられた「必勝」のペナント(撮影/集英社オンライン)
広陵高校野球部員が移動するバスにつけられた「必勝」のペナント(撮影/集英社オンライン)
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今回の問題は今年1月、1年生部員(当時)が寮で禁止されていたカップラーメンを食べたことが複数の2年生部員(同)に知られたことが発端のようだ。

真偽は定かではないが、SNSでは保護者とみられる人物が被害者の息子から聞き取った内容として「正座させられて1 0人以上に囲まれて死ぬほど蹴ってきた」「顔も殴ってきた」といった暴行を受けたり、暴言を吐かれ、相談した中井監督から「お前嘘はつくなよ」「2年生の対外試合なくなってもいいんか?」と逆に追い詰められたことを投稿。

この際に負った肋骨打撲という医師の診断書や、被害生徒が転校を余儀なくされたことなども投稿された。

これらの問題について産経新聞が大会初日の8月5日に、学校側が関係者に聞き取りをしたうえで高野連に報告し、3月上旬に厳重注意処分を受けたことを報じた。

これを受けた広陵は6日、聞き取りの結果、2年生4人が名乗り出て、被害生徒の部屋を個別に訪れて胸ぐらをつかんだり頬などを叩いたことを認め、県高野連に報告し、この4人が1ヶ月間公式戦出場しないよう「指導」を受けたと公表した。

高野連は「SNSで拡散された内容と学校からの報告に食い違いがある」などと広陵の出場を「容認」した。

しかし、SNS上では「部員の喫煙程度で出場辞退に追い込まれた代表校が多い中、部員の暴行を認めたうえでの出場はおかしい」など否定的意見が相次ぎ、7日の初戦を迎えた甲子園球場は異様な雰囲気に包まれた。

8月7日、甲子園球場に着き、父母らから拍手で迎えられる広陵高校の野球部員ら
8月7日、甲子園球場に着き、父母らから拍手で迎えられる広陵高校の野球部員ら

球場そばに陣取っていた広陵の選手の保護者らには、試合開始2時間ほど前にチケットが
学校関係者から配られた。記者が声をかけると「いや、その話は知りません」と今回の暴力事件に拒否反応を示す人が多かった。

試合開始45分前、大型バス3台が到着し、ベンチ入りしない約100人のユニフォーム姿の部員が整列して一斉に歩き始め、保護者らが拍手で迎えた。