“ティラノサウルス”の足に憧れた
――そもそも、萩原さんが歩荷を目指したきっかけはなんですか?
もともとスノーボード関連の仕事をメインにやっていこうと思っていたんですが、「じゃあ夏は何しよう?」と考えていた時に、お世話になっていた先輩が歩荷をやっていたんです。
その先輩と一緒に銭湯に行ったら、足がもう“ティラノサウルス”みたいで。本当に恐竜の足みたいだったんですよ、筋肉が。「歩荷やったら、こんな足になれるんですね!」って感激して……それが歩荷を始めたきっかけです。
それから実は、うちの祖父も40年歩荷をやっていました。家系としても縁はあったんですけど、最初のモチベーションは単純で、「先輩みたいな恐竜の足になりたい!」でしたね。
ただ、実際にやってみたら、恐竜の足にはなれなかったです(笑)。でも、まあ“馬の足”にはなったかな……?
――冬のシーズンはどんなふうに過ごしているんですか?
11月や12月は、また別の山に行って歩荷の仕事をしています。岐阜や金沢の山に行って、観光も兼ねながら働くような感じですね。
1月から4月は、いつもお世話になっている山小屋の屋根の雪下ろしを手伝っています。冬の尾瀬を見られるのは、歩荷ならではの特権ですね。
それ以外にも、それぞれ好きな仕事をしていますよ。酒蔵で働く人もいれば、沖縄に行ってサトウキビ刈りをする人もいる。私は、冬はスノーボードがメインなので、その時間を大事にしています。
――今回のポストが話題になったことについてどう感じていますか?
正直、あんまり特別なことだとは思っていないですね。私もYouTubeをやっていますし、歩荷インスタグラマーとして発信している子もいます。メディアに出ることも多いので、いろんな人に興味を持ってもらえるのはありがたいけど、「そんなにびっくりはしない」というのが本音です。でも、やっぱりこうして注目してもらえるのは嬉しいですよ。
みなさん、ぜひ尾瀬国立公園に来て、俺たち歩荷から元気をもらっていってください!
暑さに負けず、自然と一体になって歩く歩荷たち。その姿は、夏の厳しさを乗り切るヒントになるかもしれない。
Japanese Porter -尾瀬 歩荷- 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@japaneseporter
取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio)