とばっちりを受ける、真面目に働く現役教師たち

相次ぐ教員たちの事件を受け、名古屋市教委の元には100件以上の“抗議”や“問い合わせ”の電話が来ているという。

また、ネット上では「教育現場への不信感」をあらわにした書き込みもみられ、多くの真面目に働く教師たちが“とばっちり”を受けている。

数年前に都内の公立中で同僚の男性教諭A氏が盗撮事件を起こし逮捕された経験を持つ現役教師の相田先生(仮名・50代)に話を聞いた。

「Aは私と同じ社会科の30代教師でした。夏休み中に商業複合施設内で成人女性のスカート内を盗撮したとして逮捕され、のちに懲戒処分を受けました。夏休みが始まったばかりの8月初旬でしたが、逮捕の翌日に副校長から私のスマホに直接連絡があり、緊急で全教員が学校に集められました。

さらにその翌日、保護者の皆さんを招集しての保護者説明会を行いました。この日、報告したのは校長でしたが、全教員が出席し保護者の皆さんに謝罪をしました。保護者や生徒も相当にショックを受けたと思いますので、その際は本当に心からお詫びをいたしました」

PTA広報誌に掲載された小瀬村容疑者の写真
PTA広報誌に掲載された小瀬村容疑者の写真

夏休みが明けてからは、Aが担当する「社会科の授業」をほかの先生と共に振り分けて行うことになり、出勤中の自身の休み時間がゼロになった。

「社会科の先生は、彼(A)を含め3名しかいないため、私ともう一人の先生で全学年の授業を受け持つことになりました。教師は科目にもよりますが、月曜から金曜まで1週間で大体、24コマの授業を受け持ちます。そうすると1日に1時間ほどは空き時間がありまして、テストの採点や授業の準備などをまとめてできる貴重な時間だったのです。

しかし、彼が逮捕されたことにより週に27コマの授業を行うことになり、その時間もゼロになりました」

また、Aは学年主任を担っていたほか、学校研究の主任の役割も担っていた。これについて何の引継ぎもないまま2学期を迎え、校内は大混乱だったという。

「今回の様々な不祥事は本当に同じ教師として許せないことです。しかし全国の教師が皆こうではないから、現在のような、教師みんな変態だみたいな風潮は本当に心苦しく感じています。

また、今回問題となった教師に正式な処分が決まるまでは、新しい教員は配置されない。ただでさえ混乱した状況なのに、問題教員分の欠員が出たまま、生徒、保護者への信頼回復への対応もプラスされ、学校はヘトヘトになっていると想像される。

教師たちが今どんな思いで日々の業務をこなしてるかと思うといたたまれない。教員や補助員の数を増やして本業をしっかりできる環境やその補償をしてほしい思いを抱いてしまいます」

名古屋市役所(PhotoAC)
名古屋市役所(PhotoAC)
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一連の教師による不祥事は、もちろん個々の自覚や理性、罪悪感のなさなどの問題だろう。しかし全く関係のない現役教師が事件の“とばっちり”を受けているのもまた大きな問題である。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班