時間帯や劇場、予約状況までチェックするガチ勢も
「圧倒的に日本橋です。民度がとにかく高い。とくに平日の夜は、都内のなかで最高レベルの客層だと思ってます」
Aさんはここからさらに、席の予約状況までチェックして「安心できる座席の配置」まで考慮している。
「ネットで空席状況が見られるじゃないですか。あれで“ポツン”と1席だけ埋まってる場所の近くって、結構安心なんですよ。たいてい一人で来てる人で、映画好き。しゃべらないし静か。まあ、まれにとんでもないガサツなおじさんに当たることもありますが……」
また、2席セットで埋まっている場合は、カップルや夫婦のことがほとんどだという。一番よく見る埋まり方で、そこまで警戒はしていないそうだ。ただ、3人以上が並んでいる席は要注意だと話す。
「3人並んでると、まず間違いなく友達かファミリー。しゃべる確率が高い。だから私は、そういう集団の近くは極力避けます」
映画館の体験は、スクリーンと音響だけでは決まらない。“まわりの人間”の存在も、大きな要素になっている。一度始まれば、途中で逃げられない約2時間。快適な2時間になるのか、誰かの気配に集中力を削がれるのか──だからこそ、人は席にこだわり、時間帯を選び、劇場を選ぶ。
もちろん、映画館に来る人全員のマナーがよくなれば、そんなことを気にしなくても済むようになるのだが……。
取材・文/集英社オンライン編集部