一番不人気の席は誰もが納得の……
一方、ほとんど票が集まらなかったのがスクリーン前から2列目(B列)。中央席を除き、他はほぼ“空白地帯”になっていた。どうせ前に行くなら、いっそ最前列で足を伸ばしたいという思いから、だれも選ばなかったのだろうか。中途半端すぎて、誰の“推し席”にもなれなかった──という感じだ。
maiさんはこのアンケートを受けて、「見やすさだけじゃなく、“自分の空間を守る工夫”とか、“他の人の邪魔にならないように”っていう配慮も見えてきたのが面白かったです」と話す。
また、左右の偏りもなく、ヒートマップの形は左右対称の美しいバランスを描いたのも意外だった。実際に集計後、maiさんが映画館に足を運ぶと、座席の分布はアンケートと同じようだったという。
今回のアンケート結果からもわかるように、映画館とは映画を見る場所であるが、同時に“他者への気づかいの場”であり、“できる限り他者に邪魔されたくない”という願いが強く表れる場所でもある。
実際、映画館でのマナー違反は、SNS上でたびたび話題になる。そうした背景もあり、観客のあいだで「座席選び」はどんどん真剣味を増している印象だ。
中には、席どころか「時間帯」や「劇場そのもの」を慎重に選ぶ人もいる。都内に住む30代の映画好き女性・Aさんもそのひとりだ。
「私は、席はもちろんですが、それと同じくらいに“時間帯”が重要だと思っています。ざっくり言えば、平日の夜は民度が最高で、休日の昼は最悪。仕事終わりの大人が多い平日夜は、基本的に静か。逆に、休日の昼は学生やファミリー層が多くて、ガヤガヤする確率が高いんです」
劇場選びも慎重だ。東京には映画館の選択肢が多いが、Aさんはよく利用する「TOHOシネマズ」に行く際、近所かどうかではなく、その土地の雰囲気で決めているという。
「都内だと一番避けるのは、ファミリー層や若者が多い錦糸町ですね。日比谷も混みすぎていて、カップルのデート利用が多いので、席ガチャで外れると最悪なことになります。また、いろんな種類の人が集まるから、想像もつかない方向からのバッドマナーに遭うこともあります」
では、どこなら安心できるのか?