「日本が発祥だと思った」
マクドナルドの勢いは衰えない。店舗数は右肩上がりに増え続け、99年には3000店を超えた。
山迫さんは財務部や監査室などを経て、2002年に退職。最後の出社日、藤田社長にあいさつに行くと、色紙を渡された。「勝てば官軍」の文字がしたためてあった。
「ゼロから負けずに歩んできた。その経験を生かし、これからの人生も負けるなというメッセージだと思った」
地元の相模原市の公民館でボランティアスタッフになった。小中学生向けの「キャリア教育」の講師などを務め、マクドナルドでの経験も語っている。小学生から寄せられた感想文に「日本が発祥だと思った」と書かれていた時は、感慨を覚えた。それだけ国民に浸透したのだと。
「マック一色の人生に悔いはない。人に恵まれ、多くのことを学ばせてもらった」。今も毎週、店舗に足を運ぶ。頼むのは決まってビッグマック。かぶりつくと、ニコリと笑った。
「うん、やっぱりうまい」
取材・文/大井雅之・読売新聞社会部「あれから」取材班