ドリンクを片手にお代わりに行く人も…
なお、取材時に上野で実際に映画を観た際、上映開始から約1時間が経過した頃、一人の客がドリンクカップを手に立ち上がり、外に出ていった。そして約1分後、再びカップを手に戻ってきた。おそらく、ロビーに設置されているドリンクバーでおかわりをしてきたのだろう。改装前には見られなかった、新しい光景だった。
ドリンクバー形式の劇場は、TOHOシネマズ上野や立川立飛だけではない。7月18日に開業する島根県の「イオンシネマ松江」では、全国のイオンシネマで初めて、劇場内にセルフ方式のドリンク&ポップコーンバーを設置し、購入当日は、何度でもドリンクとポップコーンのお代わりOKにすると宣伝している。
7月11日に開業する埼玉県の「シネマサンシャイン三郷」も、売店での「ドリンクバー」、「セルフレジ」、「モバイルオーダー」をシネマサンシャインとして初導入。
こうした流れを見るからに、フード売り場の効率化の一環として “ドリンクバー方式”はこれからスタンダードになっていくだろう。しかしその一方で、この新しい仕組みが観客の間に新たなモヤモヤを生み出している。
〈映画館ドリンクバー、映画観てる間は使えないし、観る前にたくさん飲むとトイレのリスクがある。何のための存在かわからない〉
〈上映中に何度もカップを持って出入りしている人がいた。たぶんおかわりなんだろうけど、正直すごく迷惑〉
〈初めて行った映画館、ドリンクがドリンクバーで上映中に出入りしておかわり取りに行く人いたから次はないなぁ〉
など、SNSではさっそく“ドリンクバーの使い方”をめぐる不満の声が沸々と上がり始めている。
「映画を観る空間」がより快適になっていくためのアップデートが、逆に別の違和感を生んでしまうとは……。映画館をめぐる問題は、この先もずっと議論がされていきそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部